授業時間の柔軟化

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 次期学習指導要領で小中学校の授業時間の弾力化が検討されている。2月10日の読売新聞のトップ、3面での詳しい解説が掲載されていた。読売新聞のすっぱ抜きかもしれない。伝統的に小学校45分、中学校50分の時間を小学校40分、中学校45分にしても良い、浮いた時間を学校裁量で活用して良いというのである。一方、年間の授業時間数は変化しない。ということは、どういうことが起こるのだろう。新聞を読んでいると、授業のコマ数は変えないらしい。40分でも一コマ、45分でも一コマとカウントするのだろうか。そうすると、年間で科目の学習時間が85時間の差が生まれることになる。この時間を学校裁量の時間に使うというのである。

 私は、高校で50分授業を45分授業に改革した経験がある。義務教育と単位習得が必要な高校とは違う。1単位×35週×50分=1750時間が1単位について必要な時間である。50分を45分にすると、年間で175分足らない。よって、175分÷45分=3.888…になるので、4コマ以上授業を増やさなければならない。単位習得には、1単位当たり年間1750時間以上という確保が厳格に必要なのだ。小中学校ではこういうことはないのだろうか。もし高校のような厳格さが、小中学校の場合には適用されないのであれば、この学校裁量の時間をどの教科に充てるかによって、学力格差などの問題を解決しようとするのだろう。たとえば、全国学力学習状況調査によって、自校の強み・弱みが明らかになるので、基礎知識が弱いのか、思考力・判断力が弱いのかがわかる。この課題解決に学校裁量の時間を使うのだろう。

 さて、懸念である。長年45分、50分で授業をしてきた教師にとって、中々この5分は大きい。私の経験でも50分から45分に授業を改革するときに、この5分の大きさに教師は抵抗感をかなり持った。さらに、現在の指導要領でも提唱されている「主体的・対話的で深い学び」を実践しようとすると、どうしても授業時間が足りないという声は大きい。たかが5分だが、かなり影響の大きい5分だ。
 今後、様々なところで議論が起こるだろう。是非、学校現場の声を上げてほしいと思う。


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