有名な工藤勇一氏が学校教育監修で関わっている「御上先生」を見ているが、どうもストーリーに違和感がある。いろんなコンテンツを詰め込み過ぎて、何がテーマなのか見えてこない。初回の殺人事件、それが元隣徳の教師(常盤貴子演じる冴島先生)の子どもであり、その冴島先生は、不倫を生徒に暴かれて退職している。この騒動がどうなるのかと思っていたら、次は、教科書を使わず授業をした先生が処分されたことになり、学習指導要領の話になる。文化祭に文科省副大臣が視察に訪れた時に、「教科書検定は必要か?」と大きく問題提起するのだ。次は、ビジネスコンテスト。そして3月2日は「相対的貧困」を取り上げた問題だ。
根底には、この舞台となる私立隣徳高校が、文科省と結託して「裏口入学」を行っていることに対して、戦いを挑む御上と養護教諭(自死した兄の友人)という事があるが、教育ドラマなのか、サスペンスドラマなのか、よくわからない。養護教諭も、正義を貫いた御上の兄の同級生だったが、どういう関係で、隣徳高校の不正を糾そうと思い、御上に声をかけたのか、よくわからない。また学年主任らしい溝端先生も、単独で文部官僚とあって密談したり、有り得ないだろう。一人一人の役のキャラやストーリーが丁寧に描かれていないので、「?」が頭に浮かぶ。だから、ドラマに入りきれないところがある。
教育の分野で言いたいことは、御上先生が生徒に投げかける「考えて」という問いかけだろう。工藤氏がよく言っているように、社会で自立した人間を育てなければならない学校が、それとは逆に「自分で考えられない生徒」を育ててしまっているという事だ。それなら、この「考えて」をもっと深掘りすべきだろう。生徒たちが優秀過ぎるのか、この「考えて」がすぐにまとまってしまう。
ヤングケアラーで、祖父母の面倒を見ている生徒が万引きをする3月2日の話も、退学処分に対して抗議行動を起こす生徒のシーンは軽く流されていた。教育問題なら、ここを深掘りすべきだろうと思うが、皆さんはどのようにこのドラマを見ているのだろう。
次回からは、隣徳高校の闇との戦いが開始されるようだが、果たしてどんな展開になるのだろう。教育ドラマではなくなっていくのは残念だ。
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