広陵高校の野球部のいじめ・暴行事件について、法律の専門家も含め「いじめ重大事態」の案件ではないかと指摘を受けている。この場合は、私立高校といえども、都道府県知事は然るべき対処をしなければならない。被害に遭った生徒は、暴行を受け、転校を余儀なくされているのであるが、いじめ防止対策推進法の第五章 重大事態への対処には、次のように記されている。
(学校の設置者又はその設置する学校による対処)
第二十八条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。
一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
明らかに心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあることは、広陵高校が高野連に報告したことからも明らかである。この場合、都道府県知事はどのように対応しなければならないか。以下の第31条に記載されている。
(私立の学校に係る対処)
第三十一条 学校法人(私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人をいう。以下この条において同じ。)が設置する学校は、第二十八条第一項各号に掲げる場合には、重大事態が発生した旨を、当該学校を所轄する都道府県知事(以下この条において単に「都道府県知事」という。)に報告しなければならない。
2 前項の規定による報告を受けた都道府県知事は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、第二十八条第一項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。
広陵高校は、いじめ重大事案として広島県知事に報告しなければならないし、知事は付属機関を設けて調査を行うことができるのである。そこで、今回のブログの題にある「広島県学事課の返答」である。以下のような内容が返信されてきた。
お問い合わせいただいた件について、御連絡を差し上げます。
いじめに係る事案が発生した場合、第三者委員会を設置するかどうかは、学校設置者又は学校が判断することとなります。
現在県としては、学校に対して事実確認を求めているところであり、
今後とも、学校に対して、いじめ防止対策推進法をはじめとする法令などに即した対応をとるよう求めてまいります。
広島県環境県民局学事課
という内容だ。「県として学校に事実確認を求めているところであり、」というが、事実は明らかだろう。高野連に提出した報告をそのまま県に報告しろと言えば良いのだ。第三者委員会を設置するかどうかは確かに学校の判断だが、この事案は重大事案である。そんなことは教育関係者なら自明の理である。学事課は、独自に附属機関を設けて調査を行うことができるにもかかわらず、この文面ではやる気がないように見受けられる。あくまでも広陵高校にこの問題を委ねているように見受けられるのだ。
広陵高校が、この暴行事案を
①いじめ重大事案と認識していないこと
②高野連に報告したにもかかわらず、広島県知事には報告していないこと
を考えれば、広島県知事による調査が必要と考えるのが常識で、このいじめ防止対策推進法の趣旨から広陵高校は大きく逸脱しているのだ。それを放置し、未だの積極的に関与しようとしない広島県学事課も批判の対象になるだろう。
以上のように私は考えるのだが、さて皆さんはこの広島県学事課の返事ついてどのように思われますか?
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