平和の祭典ーオリンピック

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 パリオリンピックが閉幕した。日本の金メダルは、米中に次ぐ第三位。海外でのメダル獲得数も過去最多となった。頑張った選手たちに、そして、すべての選手たちに、心から感動をありがとうと言いたい。閉幕に際し、新聞を読んでいると、今回のパリオリンピックのテーマは、「多様性」「エコ」「持続可能性」だったことが改めて分かった。このテーマに沿って、様々な工夫がなされていた。移動手段も二酸化炭素の排出が少ない電車を使用したり、ペットボトルの使用を禁止して、水筒に水を入れたり、いろいろなことがなされていた。さすがに、セーヌ川でのトライアスロンなどの競技は、ダメだろうと思う。なんと、道頓堀川より水質が悪いらしい。最近、道頓堀川も水質が改善され、よく目を凝らすと、川床が見えるところもある。それでも、道頓堀川で泳ごうとは思わない。

 そんなことを考えながら、ふと思いついたのは、「平和の祭典ーオリンピック」という原点だ。確か、オリンピック期間中は、紛争や戦争を休戦するのではなかったかと思ったのだ。そこで、「パリオリンピック 休戦」でググってみた。そうすると、やはり2023年11月21日、パリ2024大会組織委員会トニー・エスタンゲ会長とトーマス・バッハIOC会長は、ニューヨークの第78回国連総会に出席し、決議に向けて演説を行った。決議ではオリンピック開幕の7日前からパラリンピック閉幕後の7日間、つまり2024年7月19日から9月15日までの間、オリンピック休戦の順守を呼びかけたのだ。この「オリンピック休戦」は、1993年から始まった。古代ギリシアを先例にしていると言われている。ご存じの方も多いと思われるが、古代ギリシアは、アテネやスパルタ、テーゼなどの都市国家である。これらの都市は、とても仲が悪い。このあたりの話は、塩野七生さんの「ギリシア人の物語」に良く描かれている。そんな仲の悪いギリシア人もオリンピックの期間は、停戦し、オリンピアに一堂に会するのだ。
 
 ところで、今回のパリオリンピック、まだまだパラリンピックと続いていくが、新聞には「平和の祭典ーオリンピック」の記事と当時に、ウクライナ戦争、ガザでの空爆の記事が掲載されていた。オリンピック期間中でさえ、戦争を続けるという現代の戦争に、人々の心の余裕の無さ、というより、憎しみの深さや、紛争の深刻さを感じた。イランは、今週中にもイスラエルに報復攻撃をするらしい。ウクライナは、ロシア領に越境攻撃を開始した。確かに、紛争や戦争当事国にとって、オリンピックというのは関心度が引くのかもしれない。しかし、古代ギリシア人が、「せめて、オリンピックの間は、けんかはやめようぜ!」と決めたことを、世界の指導者はもう一度思い起こすべきではないかと思う。


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