居場所拡充は、良いことだ

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 文科省は、クラスの中に入れない子どもが安心して過ごせる「校内教育支援センター」を拡充することを決めた。良いことだと思う。多くの学校で、教育相談室が開設されている。しかし、教室に入れない児童・生徒が常時過ごすように整備されている学校はどこまであるのかと思う。教育相談室は、たとえ週一しか来校しなくても、カウンセラーと「相談する場」として設定されている。記事によると、愛媛県では、このセンターを利用した生徒の53%が教室に復帰することが出来たという。

 とにかく思春期というは「疾風怒濤の時代」である。自分のアイデンティティを確立するために、他人とも自己とも協調と対立を過ごす葛藤の時代なのだ。自分とは何者かを獲得するまでに長いトンネルを通ることになる。昔のように兄弟姉妹の多い時代では、生まれたときから子どもとの関わりが家庭内であった。兄弟ケンカをしながら、どうやって人と付き合っていけばよいのかを学ぶ機会があったのだ。ところが、少子化の時代、各家庭に一人っ子、多くて二人しか子どもがいないと、家庭の中で「子ども社会」が形成されない、またはされにくいのだ。こんな少子化の流れと不登校の増加も因果関係があるかもしれない。ちょっとしたクラスメイトのトラブルや行き違いを乗り越えることが出来なくなり、クラスに入れない子にとって、このセンターは、「癒しの場」であり、「自己回復の場」「エネルギーを蓄える場」なのだろう。

 このセンターが設置されるまでは、保健室が生徒の「回復の場」であった。しかし、保健室には保健室としての別の機能もあり、不登校生徒の対応を常にメインに据えることは難しいし、養護教諭の負担増となる。保健室にも居づらくなると、学校から足が遠のいてしまう。そうすれば、不登校を克服するのに、かなりの時間がかかるのだ。不登校になりかけや学校への復帰をめざす児童・生徒にとって、このセンターは大きな役割を果たすだろう。充実したセンターにしてほしいと思う。


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