外部機関に依頼した今回の宙組での痛ましい事案について、宝塚歌劇団から報告が行われたが、世間の激しい非難にあった。当然のことだろう。上級生からのパワハラを否定したのだから。長時間労働も上級生からのパワハラが原因であると、被害者側の弁護士から指摘を受けている。すべては、理不尽な上下関係、わけのわからない慣習を起因としているものである。最初は規律ある歌劇団としてスタートしたルールも、時を経るにあたり理不尽なものに変質してくる。このようなことはよくあることだ。上級生がやっていたことの更に「上」を行くことで、自らの権威を示そうというのは閉鎖的で独善的な組織ではよくあることだからだ。問題のあった宙組だけではなく、歌劇団が全歌劇団員に聞き取り調査を行うことを決めたのは、当たり前と言えば当たり前である。前回の調査報告では、宙組で自ら命を絶ったと言われている個人の問題に帰着させようとしていたからで、宝塚歌劇団としての体質に踏み込もうという姿勢は見えなかった。上級生4人の聞き取りは「辞退」で許されていることが、その象徴だ。やっとスタートラインに立つための準備ができたと言えるだろう。まだ、体質改善のスタートラインにも立てていない。
今後調査される全歌劇団員の聞き取り調査では、少なからず理不尽な体質が浮き彫りにされるだろう。すでに、OGが口を開いているからだ。そこで、体質改善の次の段階で必要なことは、「ルールメイキング」である。何のために必要なルールなのかということを明確にしなければならない。例えば、阪急電車に先輩が乗っているであろうから、お辞儀を発車するまで続けるルール。街で先輩に出会って礼をするのは、人として必要だろう。世間でもすることだ。しかし、お世話になった方が電車に乗っているからといって、電車に礼を続けるだろうか?普通しないだろう。何のためのルールなのか、一から見直すことが求められる。宝塚歌劇団が「朗らかに、清く、正しく、美しく」をモットーにしているなら、何よりも歌劇団員が生き生きと歌劇を演じなければならないし、人生そのものを朗らかに楽しまなければ、「清く、正しく、美しく」も実現しない。そのような歌劇団を実現するために必要なルールとは何か。今、全国の学校で展開されているルールメイキングの実践こそ、宝塚歌劇団に必要ではないかと思う。
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