大阪府で164人講師不足

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 7月15日のニュースランナー(地方局)というニュース番組で、大阪府の講師が164人不足しているというニュースをやっていた。産休・育休で休職する先生や、精神的に追いやられて休職する先生が増加しているため、教員が足らないのだ。この現象は、全国的に起こっている。つい最近も私に「講師依頼」の電話が、ある府立高校の校長からかかってきた。誠に申し訳ないが、すでに現職に従事しているために、丁寧にお断りした次第である。しかし、電話をかけてきた校長の気持ちを察すると、気持ちが沈んでしまう。大阪府では、講師が必要になった場合、校長が手配しなければならないのだ。このことは、ずっと大阪府立学校で勤めていた私にとっては、「当然の事」と思っていたが、どうも自治体によって違うということが、最近わかった。自治体が、講師を手配してくれるところもあると聞く。昔の大阪市立高校はそのようだ。とにかく、電話をいただいた校長先生は、これからも講師探しに奔走しなければならない。教職員の「何とかしてくれ」という突き上げを受けながらである。心が痛む。

 この件について、教職員人事課長の岸野行男課長は、次のようなコメントをしていた。

「我々としては非常に危機感を持ってここは受け止めているところです。学校現場の方は代替がいなければ現有戦力といいますか、配置されている元々の先生方で、チーム学校という形。かなり先生方にご負担かけているところだという認識をしております」

 一応、危機感を持って受け止めているというが、どこまでわかっているのかと思ってしまう。そういうのも、大阪府の場合、教職員人事課長のポストは、学校現場上がりの者のポストではなく、行政マンのポストなのだ。学校現場を知らないのである。だから、「チーム学校という形」などという表現になる。「チーム学校」の意味をはき違えている。「チーム学校」とは、子どもに関わる人が、現在では教職員だけではなく、事務系の人、スクールカウンセラー、地域の人々など、多くの方が関わっており、その方々と「チーム」として連携していこうという考えである。不足している人材を補うためにみんなで頑張れというときに使う言葉ではない。あえて使うとすれば、まさに現場で働く教職員が使うことであり、現場の管理職が使っても反発を受けるだろう。まして、教職員人事に関わる行政の人間が使う言葉ではない。おそらく、このニュースを見た大阪府の教職員は、違和感や反感を持った者が、少なからずいるはずだ。

 行政も「ぺーパーティチャー」の掘り起こしに努力しているようだ。新しく講師登録した人も増えているという。しかし、これも根本的な解決にはならない。政府ー文科省が、根本的な解決をしない限り、地方の自治体としてやれることは、このぐらいしかないのだろう。コメンテーターの共同通信の太田編集委員は次のようにコメントしている。

「国や行政の意識改革が必要だと思います。国の文教費は、ここ20年ぐらいずっと4兆円台で続いていて、全く増えていない。これから防衛費が倍増になり、少子化予算も3兆円ついてきますが、文教費ももっと上げて、先生の給料を上げて人も増やすというように、教育改革をやって行くんだという政府の意識改革から始めてほしいです」

確かにその通りだが、今回の中教審答申の4%→10%引き上げも、財務省の壁が立ちはだかるだろう。全国の教職員は、声を大にすべきだが、どうも大人しい。これでいいのかと思う。


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