大阪府、後れを取る起業家教育

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 「新データで読む地域再生」第二弾である。今回は、探究学習の一つの分野である起業家教育である。私は、「教育と探求社」が主催する「クエスト・エデュケーション」に府立高校で初めて参加したが、振り返れば、これも起業家教育に分類される教育であると思う。日本の起業家教育は、23年2月発表の「グローバル・アントレプレナーシップ・モニター調査」の国際調査によると、先進国22か国中、16位らしい。欧米にもちろんだが、韓国にも後れを取っている。特に、「高校生までの起業家教育」が20位となっており、全体の順位を押し下げているのだ。
 ところで、大阪府である。下のグラフが、2022年度の高校・高専の起業家コンテストの出場率を示したグラフである。各都道府県の高校・高専の中で、出場した学校の割合(%)を示している。

びっくりするのは、熊本県の取り組みである。1/4を超える高校・高専が、コンテストに出場しているのだ。熊本県は、地元に本社を置く企業が少ないために、起業家教育を重視してきたと、本には紹介されている。大阪府は、7.9%、同じく大都会で高校数の多い東京は、12.4%、近隣の府県である京都府は11.7%、兵庫県は10.9%、奈良県は16.1%に上る。随分取り組みに差がある。
 この差の原因は、ひとえに教育委員会の姿勢にある。大阪府でも私が「クエスト・エデュケーション」に取り組んだことを皮切りに、何校かで導入された。しかし、それはあくまでも点であり、線にも面にもならなかった。私立高校の方が熱心に取り組んでいる。大阪府で起業家教育、もっと言えば探究学習が広がらないのは、大阪府教育委員会が熱心でないためだ。なぜ熱心ではないのかには、いろいろ原因があるが、教育委員会幹部の教育観が原因というのが、一番すっきりとわかりやすい。これほど全国的に取り組まれている探究学習について、理解が乏しいのだ。例えば、SSHは、科学人材の育成を目的とし、理系分野における探究学習を重視する制度であるが、近年、文理融合も視野に入れている。敏感に反応している学校もあると聞くが、依然として「探究学習は受験の邪魔」と考える教職員も多く、文理融合どころか、探究学習の浸透が進まないという現状もあるようだ。。

 教育長も代り、今後の大阪府の教育で起業家教育や探究学習が、どのように位置づけられていくのか、その変化に期待したい。


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