大阪市の野暮の結果


 昨日の大阪市による街路樹の撤去作業の結果、樹木が植えられていたところは、更地になってしまった。日々、四季の変化を感じ取れるものが無くなってしまい、残念でならない。この樹木たち、職場の古い人の話によると、隣のビルの文房具屋のおばさんが植え、育てていたらしい。その文房具屋も無くなり、民泊のようなホテルに替わっている。大阪市の市民が勝手に植えたことは、確かに法に触れることだろう。だが、別に歩道の邪魔になっていたわけではない。杓子定規に法を当てはめて、無粋なことをすると思う。
 大阪の気風は、町人文化なのだ。有名な道頓堀は、商人である道頓さんが私費を投じて掘削した人口運河だ。今では、日本人よりも外国人の方が多い通りだが、商人が作った運河なのだ。また、淀屋橋も豪商淀屋が自分の家の前に私費を投じて掛けた橋である。近代では、大阪城の天守閣も大阪市民の寄付によって建てられた。大阪には、自分たちの街は自分たちで作るという気風があったのだ。そんなことを考えると、おばさんが植えた梅や紅葉、百日紅などの四季を感じさせる樹木を、わざわざ撤去する必要があるのかと思う。これが大阪万博開催の影響の可能性があると考えると、なんとも言えない。おばさんは、どんな気持ちでこの無粋で野暮な跡を見たのだろう。


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