多様化する通信制高校


 夜9時を過ぎても甲子園で頑張っている球児たちをテレビで見ることができる。高校球児を取り巻く環境も大きく変わったなと思う。変わったなと思ったのは、出場校に「おや?」と思う校名があることだ。2016年夏の甲子園に初出場したクラーク記念高校である。全国展開する通信制高校である。そして今年も富山県代表として甲子園に初出場する通信制の未来富山高校だ。

 未来富山高校は、愛媛県松山市に本校のある広域通信制「未来高等学校」の富山中央学習センターとして2018年に開校し、創部8年目にして甲子園への切符を手にした。全校生徒24人中、23人が「アスリートコース」に在籍する野球部員。富山県内の出身者は1人だけだが、県外から集まった生徒たちも加えた部員全員が富山県魚津市の寮で共同生活を送っている。

 通信制高校も変わったものである。昔の通信制高校は、全日制の高校をドロップアウトしてしまった生徒の「受け皿」だった。決められた少ない数の授業(スクーリング)に出席して、レポートを提出して、テストを受けて、単位を修得する。習得単位数も文科省の決めた最低ラインの74単位である。しかし、このような通信制高校も全国で私立の通信制が、224校にもなり通信制の群雄割拠が進んでいる。
 通信制高校に在籍する生徒が増加する中でも、多くの生徒を獲得している学校もあれば、在籍数を増やせない学校もある。何が違うのだろうかと思ったとき、未来富山高校のwebのメッセージを見た。

「高校生の時期は非常に重要な時期です。世界で活躍するトップアスリートの多くが通信制高校を卒業していることからも通信制高校に『夢を追いかけるために』通う方が多いことがわかります。本校では規律ある校風の中で一流の社会人を育てる為の3学科があります。 特にスポーツ、社会福祉の分野に特化し、通信制高校の自由度の高さと専門機関による独自のカリキュラムを組んでおります。また各分野のプロを講師に招き授業を行なっている為、専門的な知識とスキルを身につけることができます。将来の為に自分らしく学ぶことができる本校で一緒に夢を追いましょう。」

 このメッセージに込められた想いには、通信制高校は単に「高卒資格を得るための受け皿ではない」ということだ。このメッセージには、10代の若者が自己実現を図る場としての通信制高校の意義が込められている。不登校の増加により、中学校の段階から通信制高校を選択する生徒も増えている。私は、これからの通信制高校の在り方には、3つのキーワードがあると思っている。それは、
自己実現・多様化・ニッチ対応
である。
このようなコンセプトで学校経営を行っている通信制高校が伸びていくのではないだろうか?


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