外部人材の活用は急務!


 11月23日の読売新聞の解説欄に、「小学校教員 支援拡充が急務」という記事が掲載された。読売新聞にしては、かなり力を入れた取材と記事である。このように、学校現場の多忙感やその解消のための取組が大きく取り上げられることは、とても良いことだ。記事では、東京都の取組が紹介されている。教科担任制、ICT支援員、学校包括支援員、エデュケーション・アシスタントなど、様々な制度や外部人材が研究指定校や都の学校に導入されていることが紹介された。

 働き方改革の問題は、大きく分けて3つあると考えている。一つは、「定額働かせ放題」となっている給特法の問題。財務省の案のように、「残業時間を減らせ、そうすれば教職調整手当をあげてやる」という姿勢では、「どのように削減するのか?」という問題が解決しない。以前からの取組で、小中の学校現場では、残業時間が3割ほど減少しているのだ。自助努力以上に残業時間を減らすためには、抜本的な取り組みが必要になる。それが、二つ目の問題としての、学校現場の制度の問題、外部人材の導入である。教員が、児童生徒との時間や、授業に集中できる時間をどれだけ生み出すことができるかという問題だ。今回記事で紹介されている制度以外にも急務なのが、スクールカウンセラーとスクールロイヤーであろう。不登校、いじめの問題、そして保護者からのクレーム対応は、教員にとっては極めて大きなストレスになり、かつ労力をかけなければならないからだ。3つ目は、「学校文化」について地域・保護者も含めて考えを変えることである。戦後、家庭教育・地域教育が低下・衰退していく中で、学校教育に過度な期待がかけられてきた。特に、本来家庭で行うべき教育についても、「学校で行ってほしい」という家庭が増えている。学校は、保護者から言われるとついつい請け負ってしまう。そのことがどんどん、どんどん、自分たちの首を絞めることになったのだ。家庭で行うこと、地域で行うこと、そして学校で行うことの線引きをしっかりと引き直すことが、3つ目の課題である。

 文科省の案にしろ、財務省の案にしろ、間違っている点を指摘してきた。何よりも大事なのは、正当な労働に対して、正当な手当てを支払うという労働権の確立が第一なのである。20世紀初頭には確立されたこの権利が、21世紀になってもまだ教育界に確立していないことこそが大問題なのである。その上で、残業を減らすために、どのように行うかという点で、今回の記事に紹介されているような外部人材の導入・活用が極めて重要なのだ。
 「残業代を支給するだけでは、働き方改革は進まない」と主張する学者や教育行政関係者がいるが、そんなことはわかりきっていることだ。こんなことを主張して、残業代の支給の優先順位を下げたりしようとしているのだろうが、労働基準法が適用されていない公立学校教員というものの労働環境の是正こそ第一であるということを、いい加減認識すべきだろう。

 もう、教員志望の若者は激減し、現場教員は多忙に倒れ休職し、何とか働いている教員も目の前の仕事に追われてしまい、子どもに目を向ける時間が減っているのだ。学校現場を救うことは、
 第一に、給特法を廃止して、労働基準法を公立学校教員に適用すること
 第二に、外部人材を導入して、働き方改革を進めること
 第三に、学校文化を見直し、地域・家庭・学校の役割分担を見直すこと
である。


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