国際バカロレアについて・・・その1


 このブログから、国際バカロレアについて不定期に連載していきたい。第1回目の今回は、私と国際バカロレアの出会いについて話をしたいが、まずは、国際バカロレアについて極々簡単に紹介しよう。
 国際バカロレアとは、簡単に言えば世界中にある大学への入学資格を得られる試験である。スイスのジュネーブで発足しているのだが、各国から留学してくる高校生が増加する中で、各国共通の入試基準を設けることが求められる中で、国際バカロレアが創設された。最初は、高校生を対象にしたDP(デュプロマプログラム)のみだったが、いきなりDPを勉強するのはなかなかハードルが高いので、日本で言う幼稚園・小学校段階、中学校段階のPYP、MYP(それぞれ、プライマリーイヤーズプログラム、ミドルイヤーズプログラム)が設けられた。国際バカロレアがどんな教育プログラムであるかは、追って紹介していきたい。
 さて、私が国際バカロレアについて知ったのはかなり前になるが、本気で知ろうと思ったのは、50代半ばである。おりしも、日本では学習指導要領の改訂に向けて、学力のコペルニクス的転換が行われ、探求学習の重要性が強調され始めたころである。私が、国際バカロレアに興味を持ったのは、DPの中の一つのプログラム、TOK(Theory of knowledge)、日本語で「知の理論」に出会ったからである。このTOK、現在行われている「総合的な探究の時間」よりも数段レベルが高い。「こんな教育を受けた生徒たちはどんな生徒なのだろう?」と興味を持っていた。そこに、岡山大学で、国際バカロレア学会が開催され、オープン参加のシンポジウム、それには国際バカロレアの卒業生及び現役の高校生が登場するということだったので、「これはいかなくてはいけない!」と思い参加したのが、最初の大きな出会いであった。
 このシンポジウム、本当に参加して良かった。卒業生では、岡山大学の国際バカロレア入試を突破した学生が登壇していた。ほとんどの学生が、海外帰国子女で、海外の国際バカロレア校で教育を受けてきた学生である。この学生たちは、岡山大学に入って日本の学生とのギャップに悩んだらしい。卒業生の彼らは、問題の所在もすぐに気づくし、その解決方法も密陽とする。さらには、みんなを巻き込んで問題を解決しようとするし、自分の意見もきちんと述べる。しかし、その流れについてくることができる日本人学生がいないのだ。国際バカロレアに学んで、当たり前のようにやってきたことが、日本では当たり前ではないのである。そのギャップに悩んだのである。彼らは、こぞって、「やはりTOKが素晴らしいです。学び方を学ばしてもらえるし、物事の考え方を教えてくれる。これがなければ、今の私はないと思う」と言っていた。今でこそ、この「問題の所在もすぐに気づくし、その解決方法も密陽とする。さらには、みんなを巻き込んで問題を解決しようとするし、自分の意見もきちんと述べる」というのは、新しい学習指導要領のめざすべき生徒像だが、その当時、そんな教育を受けている学生は日本にはいなかった、国際バカロレア校以外には。この学生たちとの出会いは、衝撃だった。国際バカロレアのもつ教育力に圧倒された。「なんという教育プログラムだ!」と思い、その魅力に取りつかれた。「いつかは、この教育プログラムに関わりたい!」と思ったのである。これが、私と国際バカロレアの出会いだった。


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