全国学校図書館協議会の調査結果が、12月3日の読売新聞に掲載された。調査は今年の6月に実施され、全国の国公私立小中高等学校計581校から回答を得た。クローズアップされているのが、司書教諭の8割近くが、図書館の業務を行う時間が確保されていないということだ。全国の公立小中高等学校で、専任の司書教諭が配置されているところは、何校ほどあるのだろう。私が校長を務めていた時の大阪府立高校では、司書教諭には2時間減の持ち時間数が配慮されるだけであった。こんな状況で、図書館業務を行う時間が確保される訳がないと思っていた。図書館を活用するという教育的事業について、本当に配慮がないなと思う。私が高校教員になった頃は、図書館に司書と思われる方がいた。どういう名目で配置されていたか、教師になりたての私にはわからなかったが、司書という名目でなくても図書室に配置できる余裕があったのだろう。時が経つにつれて、どんどん教育予算が削られ、大阪維新の会が府の政権を取ってからは、一段と締め付けが厳しくなった。
同協議会が主張するように、学校の中の図書室は、探究学習の場でもある。何でもかんでもネットで調べてコピペをすることを小中学生から覚えてはダメだ。「調べ学習」と「探究学習」は、似て非なるものである。探究学習とは、問いを立て、様々な文献を当たり、また独自に調査をしたり、フィールドワークを実施することで、自分なりの新たな答えを導き出す学習である。一言で言えば、「新たな価値の創造」である。調べ学習は、既存の価値を学習することであり、調べ学習で明らかになることは既知の事なのだ。
この探究学習で重要なことは、文献調査であろう。学術論文を書く時のように、先行事例や先行研究を踏まえなければ、新しい価値の創造はできない。この文献調査で役立つのが、やはり図書室である。図書館司書を「学校教育を支える人材」としてもう一度見直すことが重要ではないか。スクールカウンセラーや支援員と同等以上の位置づけが重要だ。
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