8月22日の読売新聞に、北米の中高の教師との交流についての詳しい記事が掲載されていた。経団連の関連団体・経済広報センターが招聘しているようだ。米国から6人、カナダから1人の教師が参加した。
州や学校区の裁量が大きいアメリカでは、「大統領が代わっても、すぐに教育方針が変わるわけではない」としながらも、やはり人種やジェンダーの問題は教育現場にも影を落としているという。このような状況の中で、教師たちが重視しているのが、「情報の真偽を見極め、客観的な根拠に基づいて考える『批判的な思考』」であるという。これは、アメリカのみならず、日本においても極めて重要な視点である。参加したケンタッキー州のジェニビア・ミューズさんは、
「生徒には、裏付けとなる事実を確認した上で意見を表明するように伝えている」と強調していた。このように考えると京都大学の松下佳代教授が提唱する対話型論証は、重要な教育モデルと言える。
北米でも探究的な学習の導入が進んでいるようだ。カナダ・トロントのクリストファー・ワラセクさんは、
「授業では対話を重視する。リポートでは生成AIが使われる可能性があり、異なる意見を理解しあうグループ討論のほか、生徒と教師による1対1の対話を成績評価に活用している」と語り、
マサチューセッツ州のアレクサンダー・ウリガさんも、
「通常の授業で自分が説明するのは5~10分で、あとは生徒の議論になる。教師が45分間話し続けたら校長に注意されるだろう」と述べた。
私は、約10年前にシカゴのアムンゼン高校を訪問した。そのとき、授業を自由に見学させてもらった。びっくりしたのは、ほぼすべての授業でグループワークが組織されていたのだ。グループワークが無かったのは、演奏のために指揮者である先生の方を全員向いている音楽の授業だけだった。当時の日本は、アクティブ・ラーニングが提唱され始めたばかりだったので、「アメリカは進んでいるな・・・」と感嘆した。
大体、日本の教育はアメリカの10年遅れで進んでいくと言われているが、今の日本の教育は、世界の中でどれくらいの位置になるのだろう。東南アジアからの視察も減っていると言われている。その一方、特別活動などが中東・アフリカで見直されているとか。OECD2030Educationを指標に検討することが必要ではないかと思う。
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