動き出したマスメディア


 9月11日のNHKクローズアップ+で「“ジャニーズ性加害”とメディア 被害にどう向き合うのか」が放映された。ジャニー喜多川氏の性加害が拡大した要因に、「マスコミの沈黙」が指摘されたからだ。桑子キャスターも神妙な面持ちでNHKの今までの対応について「真摯に反省すべき点がある」と述べた。それは、「ジャニー喜多川氏の性加害が最高裁で認定された時点の2004年である」と認めた。そして、その時点でエンターテイメント関係部署に関わるNHK職員そして民間の放送局員に取材を試みた。返ってきた答えは、「ジャニーズ問題には触れるな」という問題への回避と「それほど大事件か?」という事件の軽視であった。多くの、職員のコメントも報道されたが、大体この2種類であった。3種類目は、「上からの指示がない」ということである。桑子キャスターも言っていたが、「調査はこれで終わるわけではなく、当時の『上の判断』がどうだったのかということも継続して調査しなければならない」とコメントした。当然だろう。職員の中には、「首を覚悟で取材しても記事にはできないだろう」というコメントもあった。つまり、NHK全体、マスコミ各社全体が、この性加害を軽視し、ジャニーズ事務所に忖度したということだろう。そうすることで、性被害は、ますます拡大した。前のブログにも書いたが、各社の調査が求められる。

 9月12日の読売新聞の経済面に、「ジャニーズ起用、悩む企業 CM更新せず■解消に慎重」という記事が掲載された。今回の事件の社会的影響の大きさを物語る記事である。社会面の事件が、経済面にまで掲載されているのである。内容を読むと、各社、事務所との契約を解消するのかどうか、かなり悩んでいるようである。何を悩むのかと読んでいて思った。要点は、次の点である。
(1)今回の事案は、ジャニーズ事務所という法人が起こした事案であって、タレントが起こした不祥事ではない。
(2)この事案を受けて契約を直ちに解消するというのは、タレントに責任を負わすことになる。
(3)よって、企業としてはジャニーズ事務所の「解体的出直し」がどのように行われるのかを注視し、それが十分であれば新たに契約し、不十分と判断すれば、契約打ち切りとすればよい。
(4)それまでは、現状の契約を継続する
という判断ではないだろうか。どうも日本の企業は、このような不測の事態に出くわすと他の企業のことが気になって、筋の通った自主的な判断ができないようだ。ジャニーズ事務所のタレントを引き続き出演させることに対してクレームが出るようであれば、毅然として社の考えを訴えれば良い。そうせずに右往左往するから、余計に「世間の声」に付け込まれるのである。きちんとした筋の通った社の意見を持てよと言いたい。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP