8月18日の読売新聞に、広陵高校が1月の暴力事案について「再調査を実施する」という記事が掲載されていた。当然のことだろう。これだけの事案である。甲子園出場後の辞退となったのである。第三者委員会を設置して、徹底的な調査を行い、何が問題なのかを明らかにしてほしいと思う。
今回の問題は、1月に起こったカップラーメン飲食事件が発端である。当初暴力に関わったのは4人の部員である旨が高野連に報告され、この4人については、1カ月間の対外試合出場停止処分が行われた。調査権限がない高野連からすれば、報告された内容に基づいて処分を決定するしかない。それまで連帯責任を基本としてきた高野連は、個人の責任と組織の責任に明確な線引きを行い、今回については、野球部組織の責任にまでは及ばなかった。規約に基づいた正しい判断である。
しかし、被害生徒は転校を余儀なくされており、この事案は暴力を含むいじめ重大事案である。それにも関わらず、広陵高校は広島県学事課に報告をしておらず、広島県はいじめ重大事案としての第三者委員会を設置することもしなかった。この対応が大きな過ちである。
ところが、7月に入ってから被害者の保護者と思われる人物のSNSの投稿から、実は暴行に関わったのはもっと多人数であること、暴力の内容についても報告と違うなどの内容が明らかになり、SNSで虚偽も含む内容が発信され、過熱してしまった。その結果、生徒への追いまわしや寮への爆破予告まで発展する事態になり、広陵高校は、生徒・地域住民の安全を理由に甲子園出場を辞退する羽目になった。この点についても批判の声がある。「SNSの被害者面するのはおかしい」ということだ。あの時点では、新たな事実が出ていないということを校長は言い切った。それなら、甲子園出場を続けることが筋を通すことになる。この点についても「出場辞退は正しいのか?」に私の意見を記載した。
出場辞退は正しいのか? – yoshiの教育ブログ
さて、今回の調査である。読売新聞の取材に対して、事務長が、
「SNSの投稿から保護者が納得していない様子が見受けられ、調査が不十分だった可能性はある」
と事実上、調査に問題があったことを認めている。この間、広陵高校野球部については、様々なことが報じられ、またネット上にも真偽がわからないものが散見される。広陵高校出身のプロ野球選手の事例まで出ている。元広島カープ、阪神監督の金本選手は、先輩からスパイクのままで太ももを踏まれ、スパイクの歯が肉に食い込んだという。明らかな暴力行為だ。昭和の時代だからこそ、「強豪校だからな」で済んだかもしれないが、もしそのような体質を今でも広陵高校野球部が持っているとしたら大問題である。
今回の第三者委員会の調査でどこまで踏み込まれるのかわからないが、膿があるなら膿を出し切るまで調査を行ってほしいと思う。それにしても広島県学事課は、何をしているのだろう。
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