公私の同時受験の制度設計を!


 高校授業料無償化に関して、その制度設計が政府与党で議論されている。高校授業料無償化により、公立高校の地盤沈下は大阪府の先行実施の結果により明らかだ。令和8年度入試では、全国レベルで公立高校の地盤沈下が起こるだろう。与党も地方の専門高校の魅力化のための政策立案を行っている。大阪府の吉村知事も、「府立高校に投資」と宣言し、教室の改修などに資金を投入しようとしている。

 このような動きを否定しようとは思わない。しかし、根本的な問題が抜けていないか。私立高校に高校無償化として税金を投入することで、私立高校は半ば公立高校的な意味合いが増す。一方、公立高校も長年にわたり特色化の推進を行っており、公私双方とも高校教育の充実化、豊富化に寄与している。

 大阪府では、「公私による切磋琢磨」を掲げ、高校教育の充実を図ってきた。しかし、この切磋琢磨に関して、根本的に不平等な構造になっているのだ。すなわち、公立高校の受験に先行して私立高校の受験が実施されるのだ。授業料が無償化され、施設設備が充実している私立高校が多くの受験生を獲得できるのは当然だし、早く進学先を決めたい受験生や保護者の心理も働くことで、私立高校に受験生が集まる構造になっているのだ。これでは、公立高校がいくら頑張っても、いくら資金を投資しても、いくら広報活動を行っても、地盤沈下は避けられない。

 一時期、政府の経済財政諮問会議で、デジタル受験が話題になった。政権が代わって、その後の議論の行方は分からないが、私は公私も含めたデジタル受験制度の導入を提唱したい。そうすることで、公立高校と私立高校の生徒獲得競争は、同じ土俵になるのだ。受験生も、公立・私立の中から第一希望・第二希望・・・と高校を選択して受験することができ、一回の受験で進学先が決まることになる。

 おそらく、こういう受験制度を提案したら、私立高校側は猛反発するだろう。独自に受験日を早期にするかもしれない。それならば、高校無償化の対象から外せばよい。それでも生徒獲得競争に勝利できると考えているのならば、対象から外れればよい。

 まずは、公立高校でデジタル受験制度を開始し、その制度に参入する私立高校に高校無償化のための税金を投入するという制度にしてはどうか。このままだと、全国で公立高校の地盤沈下が起こる。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP