全然尖っていない特別枠入試


 大阪府立高校特別枠入試の第2弾である。特別枠の入試に関して、何を選抜資料に使うかは重要なポイントだ。今までの入試では、各校のアドミッションポリシーに沿った内容であるかどうかは、受験生が提出するエントリーシートで判断し、それ以外は、学力検査(学科によっては、面接や実技検査等も)と調査書で判断していた。今回の特別枠入試については、上記以外にも、面接、作文、実技試験、グループワークやプレゼンテーションなど様々な選抜方法が可能である。各校は、どのような選抜資料を採用したのか。それを示したのが、次のグラフだ。

 普通科・専門学科(実業)・専門学科(実業以外)・総合学科で大別している。ここでいう専門学科(実業以外)とは、文理学科等を指す。各校、複数の選抜資料を採用しているので、大別された高校数を分母として、パーセンテージで採用割合を示した。例えば、
普通科で学力検査を採用しているのは、91校中70校であるので、
70÷91×100=76.9(小数第二位を四捨五入)
となる。以下がその結果である。

 明らかに、学力検査と調査書を選抜資料に採用している学校が多いことがわかる。文理学科は、100%学力検査を採用している。学力検査の結果と調査書は、合否判定に使いやすい。厳然たる数値として表されるからだ。そういう意味で多くの学校が採用する意味は分かる。
しかし、問題はここからだ。多くの学校が、「学科等への適性」「学校生活への意欲」という区分を採用しているが、「適性」「意欲」を学力検査と調査書でどこまで判断できるのだろうか。大いに疑問だ。結局のところ、学力が高い生徒を獲得したいというだけではないかと思うのだ。これでは、特別枠入試を設定した意味が薄れるどころか、ほとんど意味がない。
私立高校に負けない魅力ある高校になるためには、もっと尖らなければならない。専門学科(実業)や総合学科では、グループディスカッション・グループワーク・プレゼンテーションを選抜資料に導入し、攻めている高校もあるが、普通科の学校で面接を選抜資料に導入している学校は、8枠にとどまっている。

特別枠入試は、校長を中心とするその学校の経営能力を基本とした政策立案能力が試される。この現状を見る限り、府立高校が魅力に欠けるのも頷けるのではないか。定員割れを起こす学校がますます増えていくことが予想される。


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