全中ほぼ半減は画期的か?

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 6月8日に、中体連が水泳、ハンドボール、体操、新体操、ソフトボール男子、相撲、スキー、スケート、アイスホッケーの競技を全中で実施しないことを決定した。競技のほぼ半数になる。中体連は、「解決に向けた取組が進んでいない実態から脱却し、改革を進めなければ、中学生にとって大舞台である全中大会を開催し続けることが難しい」とその理由を説明している。名古屋大学大学院教授の内田良教授は、「前例のない改革で、『よくぞ決めた』と言える英断だ。」と評価している。果たして「英断」だろうか? 
 問題の根本は、発達途中の段階である中学生に、果たして全中は必要なのだろうかということだ。継続される競技は原則トーナメント方式が採用され、№1を決めることになる。交流試合も検討するらしいが、根本は変わっていない。勝利至上主義の土壌は温存されたままである。今回の改革は、競技人口が少なかったり、中体連以外の競技団体が運営する大会があったりする競技が削減されたのであって、教員負担の軽減は図られたものの、果たして「英断」とまでいえるかは疑問だ。№1を決めるための全中を何としてでも残したいがために、教員負担を減らしスリム化したというのが実態ではないかと思う。
 内田氏の言うようなトップをめざす選手と趣味でスポーツをする選手のすみ分けができるためには、一旦全中は廃止すべきだろう。そして、トップ選手育成のためには、競技団体が大会を主催すればよい。そして、ほとんど大多数の中学生が参加する大会は、都道府県レベルで十分だ。それもトーナメント方式ではなく、リーグ戦で行うべきである。高体連が導入している1部・2部・3部などの部によるリーグ戦が妥当だ。そうすることによって、多くの中学生が試合に出場できる機会を設けることができる。更に、試合に勝つために何が必要か、自分や自分たちのチームに必要なことを探究することができる。それぞれのレベルで、一歩向上するためには何が必要か探究する学習ができるのだ。そういう体験や学習が、極めて教育的であり、生徒を成長させると私は思う。


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