保護者向け会社説明会！

　ボヤ―っとテレビニュースを見ていた時である。今ではどの放送局かも覚えていない。会社が保護者向けの入社説明会を開催したというニュースが報道されていた。「？」と思った。「親向けの入社説明会とは何だ？」と思ったが、子どもに安心して入社してもらうために、保護者に実際に会社を見学してもらい、先輩社員の話を聞くというのである。「なんじゃそら？過保護もここまで来たか！」と思った。「もう社会人だろう！これから自分が働く会社くらい、自分で考えて選べ！」と思った。この会社が特別なのかと思い、googleで「保護者向け会社説明会」と検索してみると、数多くのサイトがヒットするではないか。あるCMのキャッチフレーズ、「今って、そうなってんの！」と叫びたくなる状態だ。

　しかし、考えてみれば、宝塚の自死問題、医師の長時間勤務などの問題もあり、ビッグモーターのパワハラ事件など、親御さんとしてはせっかく育て上げて、やっと社会に送り出したのに、会社がブラックで大変となると安心できないのではないかとも思いなおしてみた。子どもは、まだ会社というものを経験していないが、保護者はそれなりに社会経験も豊富で、世の中を見る目も厳しいと言えるだろう。保護者に会社を見学してもらって、安心して入社してもらう必要があると言えばある。会社のほうも、人材難で売り手市場の中で「どう優秀な人材を確保するか」ということに苦労しているのである。悠長なことは言ってられないのである。

　ただ、古い考えかしれないが、保護者が会社を見学するような家庭で育った子どもは、一人前の社会人として成長しているのだろうか…とも思う。大変な世の中になったものだ。いつになったら、一人前になるのだろう。