何か違う・・・

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 本日7月11日の読売新聞の教育欄に、「職場復帰支援プログラム」の実践事例が紹介されていた。復帰後に1年以上勤める割合は、通常は50%らしいが、このプログラムを受けた者は、63%だという。成果が上がっているのは確かだ。更に、休職予防などのためにメンタルヘルスやクレーム対応についても予防のプログラムに入れているようだ。ただ、何か違う。
 
 前にブログに書いたように、教員の精神疾患の増減と休職者数は、正の相関関係にある。今回紹介されているのは、精神疾患で休職した教職員への対策だ。確かに、予防プログラムは大切だ。しかし、精神疾患になってしまう根本の原因に対して対策を講じなければ、「対処療法的」と言われても仕方がない。「職場復帰プログラム」に従事している人達を批判しているわけではない。やるべきことをやっていない行政機関が問題なのだ。それは、教育委員会、正しくは教育委員会事務局である。

 今回の記事でも、精神疾患の原因が業務過多と保護者からの苦情が原因で休職に追い込まれた20歳代の中学校男性教諭の例が紹介されていた。そうなのだ。根本的に解決するためには、業務過多と保護者からの苦情対策なのだ。業務過多は、少しずつ改善しつつある。ただ、牛歩のような歩みだ。しかし、学校現場がブラックであることの認識が広がっているだけましかもしれない。政府‐文科省の対応が、教職調整手当の引き上げに焦点化している限り、根本的な解決には至らないだろう。まだまだ、解決は遠い。
 一方、保護者の苦情対策は、やろうと思えば、すぐにできる。世の中は、カスタマーハラスメント対策に動いているのだから。公立学校や役所などの公的機関はカスハラに直面することが多い。税金で運営されているからだ。言いやすいし、言う権利があると思われている。だから、その対策は公共機関で働く職員を守るために急務なのである。役所は動き出しているのに、学校は本当にカスハラ対策、学校現場では保護者対策に動かない。前にも言ったように、「事例集ぐらい、作ったらどうだ」と思う。難しい話ではないだろう。教育委員会事務局も、様々なハラスメントにあっているはずだ。そういう事例を集め、法的視点を踏まえて、どのように対策を講じるべきか、民間のカスハラ対策を参考に作るべきだろう。本当に動きが遅い。何が支障になっているのだろうと思う。


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