休んでますか?


 GWも後半、今日は子どもの日である。休みをうまくとることができれば、10連休という人も少なくないだろう。しかし、学校はカレンダー通りだ。その上、部活動がある。5月3日の読売新聞にこんな記事が載っていた。

長時間部活 是正求める 文科省・文化庁に 自殺生徒の父親ら

記事によると、千葉県柏市立柏高校の吹奏楽部に所属していた2年生の男子生徒が2018年に自殺した。この生徒が所属していた吹奏楽部は、平日で5時間半、休日は11時間に及ぶ練習をしていたという。明らかに、文科省・文化庁が示したガイドラインー平日2時間、休日は3時間程度ーとしたガイドラインを逸脱しており、柏市教育委員会が示した高校の部活動のガイドライン、朝の自主練習を除いた平日は3時間以内、休日は6時間以内(このガイドラインもおかしいが・・・)からも大きく逸脱している。5月3日に、河内長野の駅に行くと、部活動の公式戦なのか、長野中学校の生徒が集まっていた。券売機には、先生らしい人がいた。夕方、本屋に行ってみると、同じ生徒と先生が帰ってきたのだろう、駅から出てくる姿を見た。GWなのに、先生は1日仕事だ。
 とかく、長時間の部活動になりがちな文化部が、吹奏楽部やダンス部である。どちらも個人練習ーパート練習―全体練習という構成になっており、時間を要すると考えられている。なぜ、考えられているか。大人がそういう練習をするからだ。この二つの部には、外部指導員が関わっているケースが多い。部が部費で雇うのである。それほど熱心にやっているので、どうしても生徒にも熱が入る。私の経験した学校でも、この二つの部は、長時間活動で様々な支障をきたしていた。
 なぜ、長時間部活を強いるのか。一度、実績を残すと、その実績を残した学年は、「この実績を引き継ぎ、更なる高みを!」などと後輩に思いを託す。これを美徳としている風潮がある。そして、後輩たちは自分の学年で苦杯を舐めたくないと思い、先輩たちと同様か、またはそれ以上頑張ろうとする。そしてついてこれない部員には、叱咤激励という名目のパワハラまがいの指導を行ってしまう。このスパイラルがどんどん、どんどん加速するのだ。そしていつの間にか、高校の勉強よりは、部活動の3年間という高校生活になってしまう。この柏高校も同じような道を辿ったのではないだろうか。明らかにガイドラインを逸脱した長時間にわたる部活動については、部員、保護者などと十分な話し合いを行い、部活動の制限を行わなくてはならない。柏高校は、私立高校ではなく公立高校なのだから、猶更だ。管理職の責任も大きい。
 
 高校の部活動は、3年サイクルで入れ替わる。たまたまある学年が優秀な実績を残したとしても、その実績を継続するのは至難の業だ。顧問も実績を残すと欲が出る。「昨年以上の実績を!」と欲が出る。そして生徒を追い込んでしまうのだ。保護者も同じである。上の学年が実績を残すと「わが子の学年で実績を残せないと子どもが可哀そう」というが、実は親の見栄も半分以上ある。実績を残せないと「あの学年ダメだったわね・・・」と言われるのが嫌なのだ。寄って集って、生徒を追い込む構図が出来上がってしまうのだ。

 まずは、GW、高校生の皆さん、部活漬けになってませんか?休んでますか?もうすぐ、最後の公式戦ですよね。高校生活最後の大会ですよね。良い成績を残したいという気持ちは十分にわかります。だけど、休みも大事。人生は長いのです。自分の命をかけてまでするほど部活動に値打ちはありません。

 そして、3年生の皆さん、公式戦が終わって、後輩たちに話をするとき、「俺たちの(私たちの)実績を更に高みへ!」というのは止めましょう。「部活動は、自分たちの部活動だよ。私たちの事は忘れて、自分たちがどんな部活動をしたいのか、十分に話し合ってください。」と言ってあげてほしいと思う。


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