今日は、「バスの日」らしい・・・

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 私も初めて知ったが、9月20日は、「バスの日」らしい。1903年の9月20日にはじめてバスが運行されたことにちなんで決められた。いろいろなイベントも企画され、めでたい日でもあるが、そうとも言っていられない。「バス会社受難の時代」が到来したのだから。いま、全国ニュースで取り上げられているのが、金剛バスの営業停止の問題である。9月11日に突如今年12月20日をもってバス事業を廃止すると宣言したのだ。廃止を告げるお知らせには、次のように記載されていた。

弊社は長年、路線バス事業を続けてまいりましたが、乗務員の人手不足・売上の低下等様々な要因もあり、あらゆる可能性も慎重に検討いたしましたが、このたび令和5年12月20日をもってバス事業の廃止することを決定いたしました。

 この金剛バス、私にとっても、そして私の高校の同級生にとっても関係の深いバスだと思う。金剛バスは、富田林市を中心に、河南町・太子町・千早赤阪村地域でバス事業を1925年(大正4年)から展開している。大阪に住んでいないとわかりづらいと思う(大阪北部に住んでいる人も分かりづらいかも)。要は、金剛山・葛城山のふもとの街々であり、遡れば、東高野街道沿いの街々でもあり、近鉄南大阪線沿いの街々である。私が通った高校は、松原市にある府立生野高校である。大阪市の生野区から松原市に移転した。私は、近鉄南大阪線の終着駅の河内長野駅から松原市まで通っていた。金剛バスは利用しなかったが、多くの同級生は利用していたはずであるし、電車から見える緑の車体は思い出深い。
 そんな金剛バスが、営業を停止するのである。長年の赤字が会社の体力を奪い、乗務員の不足も相まっての決断らしい。この後は、近鉄バスと南海バスが、路線を引き継げるかどうか協議をするらしい。ただし、営業赤字が出ない範囲で。そんなことができるのかと思う。おそらく路線の縮小、本数の削減などで、このエリアの住民に大きな影響がもたらされることは容易に想像できる。

 この問題、3大都市圏である大阪府で起こった事案であるだけに、衝撃は大きい。全国のいたるところで、人口減少が進み、超少子高齢化社会に突入している。お年寄りにとって、地域の足である公共交通機関のバスは、生活する上での無くてはならないものである。国鉄時代からJRの赤字路線の廃線が進み、バスに取って代わってきた。ところが、そのバスの運行さえも行き詰る状況になってしまったのだ。これから、何年間のうちに同じ現象が日本の至る所で発生するかもしれない。いや、必ず発生するだろう。行政や地元の「足」の社会的役割を担うバス会社は、どう対応するのだろうと思う。
 短期的には、コミュニティバスを走らせる事でしのげるだろう。しかし、それもいずれ破綻する。人口減少は、自治体の税収入を減少させ、自治体の体力も奪うからだ。そこで、今後100年ではなく、50年を見越して、「コンパクトシティ計画」を考えなければならない。公共交通機関で採算の取れる範囲に町の機能を移転し、住民の移住も計画的に行うというものである。大胆な計画であるが、この「コンパクトシティ」ができないとあらゆる面で街の機能が停止し、破綻するように思われる。

 今日は「バスの日」であるが、「バスの日」の未来には、暗雲が立ち込めている。


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