教員の働き方改革で、財務省と文科省の間で決着したという報道がされている。内容は、
・10%まで段階的に教職調整手当を上げる。
・働き方改革推進の条件はつけない。
という内容だ。文科省が求めていた一挙に13%に上げることは見送られたが、財務省が示していた給特法の将来的な廃止については、一切言及はなかった。文科省としては、給特法を死守することが至上命題であることが、今回の合意で浮き彫りになってきたのではないか。この点について、あまり報道されない。給特法を巡る議論が起こらない限り、いくら4%が5,6%と上がっていっても「定額働かせ放題」の実態は変わらない。
文科省のこの姿勢の背景には、教員は労働者ではなく、「聖職者」であるという姿勢が根本にある。労働者か聖職者かについては、戦後すぐから文部省と日教組が論争に論争を重ね、互いに闘い続けてきた。この亡霊のような暗いトラウマがあるために、文科省は給特法を手放すことができないのだろう。私も大学時代に大阪市立大学の横田三郎氏の著作をむさぼり読んで、この「教師聖職論」について勉強した。あれから半世紀近く経っているにも関わらず、未だに文科省は「教師聖職論」に立脚し、給特法を放棄しない。
しかし、時代はそんな文科省の妄執をはるかに乗り越えて深刻だ。教員不足・教員の病休の増加・そして教員の不祥事の増加という事態が進行している。文科省は、「教師聖職論」を投げ捨てて、学校現場で働く労働者として教員の処遇改善を行わなければならない。何回も繰り返しているのだが、重要なことは次の二つだ。
★オーバーカリキュラム状態を改善しつつも、現代の教育課題に対応できるだけの人材を学校に大胆に投入すること
★給特法を廃止し、労働基準法を教員に適応し、残業に対してきちんと残業代を支給すること
である。
今の政治状況は、少数与党国会である。日教組や全教は、本気になって給特法の問題を取り上げさせようと思えば、国会の議題に上るだろう。立憲民主党、国民民主党はもちろん、日本維新の会、共産党まで巻き込んで議論ができるはずだ。是非、給特法の是非について国会で議論をお願いしたい。
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