茨城大学附属小学校のいじめ重大事態について、大学側が保護者に対して3度の謝罪を行っていることが、7月当初に明らかになっていた。こんなことがありうるのかと思う。少なくとも教育学部の附属なのだから。
事態は次のようだ。小学校4年生の女児が、21年4月ごろから同級生に付きまとわれたり、悪口を言われたりして不眠や腹痛などを訴えて長期間不登校になった。長期の欠席になれば、いじめ重大事案として取り上げられなければならないのは当然の事である。ところが、大学はいじめ防止対策推進法に基づく重大事態として文科相に報告しなければならなかったが、1年超も報告せず、調査もしていなかった。毎日新聞が23年4月に報じると、大学は太田寛行学長名の声明を発表して謝罪した。これが1回目である。
保護者が求める第三者委の設置について、校長は当初拒否したが、22年5月に文科省の統計調査「問題行動・不登校調査」(21年度)に「調査済み」と、事実と異なる回答をしていた。その点について24年8月に発表し、9月に保護者に謝罪をした。これが2度目である。
大学は文科省への誤回答に気付いた時期についても保護者に事実と反する報告をしていた。大学は24年9月に学長名の文書を保護者に送り、「不十分な説明となったことについては、深くお詫び申し上げます」と謝罪した。これが3度目だ。
なんと無様な話か。当事者である女児は、内部進学をせずに別の中学校に進学したという。保護者は、大学の対応に「うその説明と釈明の繰り返し」と憤っているという。当然だろう。この大学・附属小学校のガバナンスは一体どうなっているのかと思う。
これに対して、7月15日に阿部文科相がコメントをしている。阿部文科相は、この事案では調査期間が長いという指摘もあるが、期間は事案によって異なることから、一概に妥当性について見解を述べることは困難としたうえで、ガイドラインに基づき、被害児童生徒や保護者の切実な思いに寄り添う対応が重要であるとコメントした。
確かに重大事案については、その内容によって調査期間の長短はあるだろう。しかし、今回の茨城大学の事態は、明らかに大学の失態である。それを監督庁である文科省の大臣が庇うようなコメントをしてどうするのだ。「被害児童生徒や保護者の切実な思いに寄り添う対応が重要である」というのなら、この大学の失態に対して厳しいコメントをすることが保護者と児童生徒に寄り添うことになるだろう。この大臣は、何もわかっていない。官僚の用意した文を読み上げただけだろう。この一事をとっても、辞任すべきだろう。
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