ホストの売掛問題

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 最近、ホストの売掛問題が新聞やテレビを賑わせている。何気なく見聞きしているが、売掛で扱われている額が、半端ない。何百万、時には1000万円を超える額である。若い女性に払える額では到底ない。だから、風俗や売春といったことをホストから強要され、人生を踏み外していく。なぜこのようなことが起きるのだろうか?不思議でならない。ホストクラブといえば、10年ほど前までは、お金と時間がある女性が行く場所ではなかったか。そして段々普通の主婦も嵌り始め、夫に内緒で借金をしてしまい、家庭が崩壊するという事案も耳にした。今は、ホストの対象は10代から20代、まだ社会もあまり知らない世代に移行しているようである。

 なぜ、このようなことが起こるのか?要は、世間を知らなすぎるのである。時代劇などで、大店の若旦那が吉原の遊女に入れあげて金をつぎ込んでしまうというような話がよくあるが、構図は全く同じなのである。と言っても、現在は昔と少し違う。もう少し、現在の状況に深堀してみると、若者のコミュニケーションの取り方が見えてくる。今の若者は、SNSやネットの中で過ごす時間が多く、リアルな体験を持つことが以前より減っている。恋愛の憧れも、リアルな世界よりもネット上のキャラクターに持つ。そして、そのネット上の憧れのキャラクターが、現実世界に飛び出してきたのが、ホストなのである。彼らのルックスを見てみれば、彼らが何をめざしているのかすぐわかる。アニメのイケメン登場人物なのだ。そんな憧れの人に、間近で優しくされ、「あなたは悪くないよ」などと言われて、自尊感情をくすぐられたら、経験値の少ない若い女性はすぐに嵌ってしまうのだろう。「推し」のためなら、何でもするというようになってしまうのだ。お金さえ払っていれば、ホストは恋人でいてくれる。そこに、自分の存在価値を認めてしまうともう抜け出せなくなるのだろう。周りが何を言っても聞かなくなる。まさに、マインドコントロールである。ホストがお金を稼ぐ仕事でとして行動しているということも分からなくなるのだろう。今の若者のいびつな人間関係の成れの果てではないかと思ってしまう。
 
 解決策はあるのか?ホストにはまって、キャバクラで働くようになって、自分もお客にホストと同じようなことを言っていると気づいて、初めて「あれは仕事だったんだ」とマインドコントロールが解けたとテレビで女性が告白していた。これでは、解決策になっていない。学校生活の中で、よりリアルな体験を積み重ねていくしかないのではないか。ネットの世界で生きる若者をリアルに引き戻さなくなくてはならない。


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