ヒロシマサミットについての日本の言論


 今日は、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞の社説を読んだ。ヒロシマサミットについて、日本の言論界はどのように考えているのかを知るためである。朝日・毎日は案の定、「宣言文に核廃絶に向けた具体的なプランが記載されていない」とその不十分店を述べている。読売は、「ゼレンスキー大統領の訴えに応えよう」である。どちらの社説に軍配をあげるか、私なら読売である。以下、その理由を述べる。
 今回のサミットでは、核軍縮や核廃絶の具体的なロードマップを議論することが主要なテーマではないはずだ。なぜなら国際政治の現局面は、レーガンとゴルバチョフが核軍縮に向けて合意したような流れになっていないのは、誰が見ても明らかだからだ。言う必要もないが、朝日と毎日の論説員のために言えば、現在は常任理事国であるロシアが隣国ウクライナに武力侵攻し、武力による現状変更を行っていること。そしてプーチンはウクライナの反撃に遭い、占領が思うように進まないとわかると、核で世界を脅した。今、世界が許してはならないのは、プーチンによるウクライナ侵略である。即時停戦、即時無条件撤退をさせなければならない。これが世界情勢の局面である。このことを考えるならば、目のまえの最重要事項は、「核を使わせない」という声を、G7のみならず、グローバルサウスの国々も含めて、一致してロシアに突き付けることであり、間もなく始まるであろうウクライナの反転攻勢を必ず成功させることである。そのために、ゼレンスキー大統領は、遠路来日しG7とグローバルサウスの首脳と会談したのである。「ヒロシマで武器供与の話はふさわしくない」という声があるが、それは現実の政治というものがわかっていない。まさに、今焦点化しているのが、ウクライナへの武器供与だからだ。その意味で、読売新聞の主張のほうが、政治の意味がよくわかっているし、共感を得る。しかし、朝日や毎日のように、「ヒロシマサミット」の不十分さを声高に唱えても、何も進まないと言いたい。 
 G7の首脳、グローバルサウスの首脳がヒロシマを訪れ、原爆資料館を訪問し、慰霊碑に献花した意味は、いくら言葉を尽くしても尽くしきれないほど大きい。日本のマスコミは、まずはこの点を世界に訴えるべきだろう。


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