トランプ氏は王か?!


 アメリカ連邦最高裁判所が、とんでもない判決を出した。大統領在任中の公的行為については、「免責」されるという判断を行い、連邦議会乱入事件に関して、「公的か私的か」の判断を下級審がするように差し戻したのだ。この判決には、保守派6人が賛成、リベラル派3人が反対した。読売新聞にもリベラル派のソニア・ソトマイヨール判事の意見書の一部が掲載されていた。
「大統領と国民との関係は取り返しのつかないほど変化する。大統領は今や法の上に立つ王だ。」
まさにその通りだ。

 2020年1月の連邦議会乱入事件は、アメリカ政治史の汚点だろう。民主主義の象徴たる連邦議会に、暴徒が乱入したのだから。それを煽ったのは、明らかにトランプ氏だ。これもまた、民主主義の根幹たる選挙結果を受け入れたくないがために、支持者たちを煽り、暴徒化させたのだ。とんでもない奴である。なぜ、こんなことが許さるのか。まだ、この事案に対して「免責」されるのかどうかの判断は下されていない。しかし、11月の大統領選挙までに裁判所の判断が下されることはないのだ。大統領選への影響は計り知れない。

 トランプ氏にとっては、喜びが止まらないだろう。大統領選を有利に展開することができる上に、「公的」と判断されれば、免責される可能性が極めて高いからだ。元々トランプ氏は、独裁的体質を持っている。プーチンが好きだし、習近平をうらやましいと思っている。そんな体質を持っている人物が、大統領に立候補し、アメリカ国民の多くの支持を集めるのだ。そして、この判決である。猛獣を野に放つような判決だ。これで、トランプ氏が大統領になれば、彼はやりたい放題になるだろう。

 11月の大統領選、先日行われたディベートで、バイデン氏が高齢故の弱さを露呈してしまったがために、「もしトラ」は「確トラ」になってしまった。トランプ氏が大統領になった4年後には、世界の独裁者の中に、プーチン、習近平、キム・ジョンウンに加えて、トランプ氏の名前が挙げられることになるだろう。戦後、日本に民主主義をもたらした、あのアメリカはもはや民主主義の国では無くなってしまったか。それほど大きな判決だ。


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