8月1日の読売新聞で「再考デジタル教育」という連載がスタートした。現在中教審では、デジタル教科書の推進について議論されているが、その議論の中身に疑義を唱えるものだ。デジタル教材での学習よりも、紙の教科書で授業をする方が、児童・生徒の読解力や理解力が上がる、集中力も増すという実践が報告されている。このブログでも何回も紹介したが、デジタル先進国と言われる国々でも「紙への回帰」の動きがあるのだ。
同じ日の新聞に、今年4月に行われた全国学力学習状況調査の結果が公表された。学力の低下が大きな焦点であるとともに、学力格差も取り上げられている。この調査結果の分析を行うような力量は私には無いので、発表された内容を是とするしかないのだが、問題は、学力低下の原因だろう。いろいろなことが複雑に絡み合い、学力の低下を招いていると言えるだろう。コロナ禍の問題、スマホ・SNSの問題、家庭の教育基盤の問題、様々な要因があるだろうが、確実に言えることは、家庭学習の時間が減少していること、その要因には、スマホ・SNSが存在することだろう。
デジタル構想により一人一台端末が実現する中で、それまでスマホやSNSと遠ざかっていた学校という場にさえ、SNSが「侵入」してきた。今日の読売新聞の「再考デジタル教育」の記事にも、以下のような内容があった。
「都内公立小の20歳代女性教員は『抜け道だらけ』とため息をつく。授業中にアイドルやバンドのサンプル音源を聞いたり、教育委員会の制限をすり抜けて動画サイトを見たり・・・。『授業が静かでも関係ないことをしているのでは、と不安になる』と表情を曇らせる。」
というものだ。私も校長として授業見学をしていた時に、同じような風景も何度も見た。これでは、理解力も読解力も議論する以前の問題だ。そもそも「学習」という状況に入っていないのだから。
文科省、国立教育研究所は、膨大なデータを有しているのだから、学力の低下、学力格差の問題に関して、速やかに分析を進め、しかるべき結論を出してほしいし、その知見を教育政策に反映してほしいと思う。
注;このブログ原稿は、連載の「中」を読んだ段階で書いたが、今日8月3日に「下」の内容を読んだら、同じような趣旨が述べられていた。
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