テロで社会を変えさせてはいけない!

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 とうとう、テロリズムによって旧統一教会の解散命令が請求されることとなった。発端は、ご存じのように安倍元総理への襲撃事件である。犯人は、安倍元総理が旧統一教会と深い関係にあると思い、旧統一教会を標的にすることから、安倍元総理を襲撃対象にした。選挙演説中ということもあり、日本だけではなく世界に衝撃が走った。このテロから、自民党を中心に旧統一教会との関係が問題視された。また、旧統一教会の献金や霊感商法に苦しむ信者の家族や信者二世がクローズアップされた。その結果、旧統一教会の解散命令請求までたどり着いたのである。元々、旧統一教会については、霊感商法や過度の献金による問題があり、民事訴訟などが度々発生し、問題視される宗教団体だった。しかし、長年放置されてきたという指摘もある。今回の安倍元総理へのテロが、ここまで社会を変革してしまった。
 しかし、これは悪しき例である。テロによって大きく社会を変革させるようなことはあってはならない。この悪しき例を「成功例」として考える輩が出てくる。すでに岸田総理へのテロ行為も発生している。歴史上、テロによって社会が良き方向に変革された例があるだろうか。そんなことを考えて自分の歴史の知識を思い返してみると、私が習った当時は「大化の改新」と言われていた「乙巳の変」で蘇我入鹿が殺されたことによる政変が浮かび上がった。このテロは、大きく社会を変革したと言える。もう一つ頭に浮かんだのは、桜田門外の変で井伊直弼大老が水戸浪士に殺害されたことだ。このテロ以降、尊王攘夷を叫ぶ志士は、「天誅」という大義名分を掲げて、京都を中心に日本のあちこちでテロを勃発させた。この志士たちが起こしたテロで、世の中が変わったかと言えばそうではない。京都の治安悪化を招いただけで、新選組vs志士という血を血で洗う殺戮が繰り返された。残念なことは、このテロリズムの中で佐久間象山も殺されていることだ。河上彦斎が中心になって殺害した。佐久間象山は幕末の知の巨人で、日本の行く末を見据えることができる数少ない人物であっただけに残念でたまらない。河上彦斎は佐久間象山を切ったとき、「何とも言えない巨大な気を発した」と語っている。

 安倍元総理も、様々な評価がある人物であった。しかし、まだまだ日本の舵取りに力を注いでいただきたい人物であったことは確かだろう。「地球儀を俯瞰する外交」で多くの国の首脳と関係を構築したことは、外交下手と評される日本の外交史の中では、際立った成果をもたらしたのではないだろうか。今回のテロリズム、絶対「成功例」とさせてはならない。今後、テロに関する裁判も、解散命令請求に関する裁判も予定されている中で、この裁判をどのように取り上げるか、マスコミも十分注意して取り扱ってほしいと思う。


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