キャリア教育で大事なこと


 読売新聞の教育欄に「夏のキャリア教育」が連載されている。夏休みでしか体験できない様々なイベントに参加しようというのは、とても良いことだと思う。学校では体験できないリアルな体験、先生とは違うプロの話を聞くことが出来る体験ができるのだ。できる限り多くの児童・生徒に参加してほしいと思う。
 中学校でよく行われる職業体験という企画がある。地域の企業や店舗・施設に出かけて実際に3日~1週間程度、連続して体験する企画だ。府立高校で教員をしている時に、高校3年生で進路指導をしている時に、進路希望を尋ねると、
「〇〇を希望しています」(注:〇〇は保育士や介護の関係が多い)
「なぜ、そう思うの?」
「中学校の時に、〇〇に行って体験して、なりたいと思いました」
と答える生徒が少なからずいる。この中学校の体験が、進路選択に結び付いているという意味では良い結果なのかもしれない。しかし、時々「大丈夫か?」と思うときもある。というのも、本当に生徒に向いているのかという適性という視点で「?」が着く場合があるのだ。中学校での体験の印象が強すぎて、思い込んでいる場合があるのだ。だから、10代の若者にこのような体験をするときに、お願いがある。
=お願い1=
 やりがいを語ってほしい。職業体験で経験することは、その仕事の大変さやそれを難なくこなしていくプロの技や接客の技術等が多いし、受け入れる側もこのような点を強調することが多い。大人もそれがやりやすい。なぜなら日頃からやっていることだからだ。だが、どんな職業でも、その職業を通じて社会に関わっているわけであるから、「やりがい」がある。そのやりがいを児童・生徒に話してほしいと思う。もっと砕けた言い方をすれば、「喜びを感じるのはどんな時か」となるだろう。
=お願い2=
 自分がなぜその仕事を選んだかを話してほしい。この話を聞くことで、その仕事に従事している人の生き様に触れることが出来る。そこには先に述べた「やりがい」もあるだろうが、紆余曲折の人の歩みも語られる。仕事に従事することの厳しさもわかる。仕事に就くためには、資格も含めそれなりの訓練がいることもわかるだろう。そういう話を聞くことで、生徒は安易に進路を考えないのではないかと思う。
=お願い3=
 最後に、適性を語ってほしい。それは自分を見つめることの大切さだ。中学・高校と様々な体験をしてほしいこと、これから君たちはどんどん成長すること、その中で、「自分は何者なのか」を考えてほしいこと、伝えてほしいと思う。

 日本のキャリア教育って、体験させることだと考えられていて、いろいろな体験企画をすることがキャリア教育と考えらる傾向にあるが、キャリア教育というのは、「生き方教育」なのだということを理解してほしいと思う。


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