カスハラ事例検討その1

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 教職研修7月号の続きである。「学校で何がカスハラにあたるのか」というテーマで獅子角弁護士が、具体的な事例を題材に何がカスハラにあたるのかを検討している。これがとても勉強になる。もう一度、カスハラの定義を確認しよう。
 ①顧客等から就業者に対し、
 ②その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、
 ③就業環境を害するもの
がカスハラである。事例1は、こんな内容である。

 子どもから聞いた話を鵜呑みにして、学校にクレームを入れてくる保護者に困っています。「うちの子が運動会で選抜メンバーに選ばれた。無事勝つことができたが、一番足の速い子ばかりが褒められていた。わたしもがんばって練習してきたのにと悲しんでいる」とのことです。「今日まで必死にがんばってきたのに。一人ひとりをちゃんと見ていない。平等に接していない。教師失格だ」と声を荒げています。
 学校側が、皆を褒めたつもりだった。伝わらなくて申し訳ない。今後はもっと相手に伝わるようにしたい。~さんもすごいと先生は思っている。と丁寧な説明しても受け入れてもらえません。

 この事例は、教職研修に寄せられた事例なので、実際にあったことだろう。私は、高校教員なのでこの手の保護者のクレームにはほとんど出会わなかったが、中学校の校長をしていた時には、この手のクレームに遭遇したことがある。担当教師も学校も真摯に、そして必要以上に謝罪もしているのに保護者が納得しない。生徒も納得しようとしないという事例だった。はっきり言って、「何をわがまま言っているんですか!」と言いたくなるような事例だったが、これも少子化故の過保護・溺愛の結果だろうと思ってしまう。この事例についても親なら「先生もあなたの頑張りはきちんとわかってくれている。いつまでも拗ねてないで前を向きなさい!」と叱咤激励するのが、親の務めだろう。しかしながら、この事例の親のように、子どもと同じレベルで学校に要求を突き付けてくるのだ。こんな親がいるから教師の精神的負担も増し、教職離れが加速する。と嘆いていも、こんな親が実在するのだから、学校も対処するしかない。

 これが保護者のカスハラに該当するかどうかは、詳しくは雑誌を読んでほしいのだが(あまり詳しく書くと、著作権問題になるので)、要点は③の就業環境を乱すかどうかというところのようだ。1~2回のやり取りならば、「就業環境を乱す」とまではいかないが、頻繁・長期間に及べば、「乱している」という判断になるというのである。なるほどである。


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