ウクライナは本当に負けるのか?


 11月22日の読売新聞では、「米、細るウクライナ支援」という見出しの記事、11月24日の同新聞には、「米欧『支援疲れ』表面化」という特集記事が掲載された。そして、文芸春秋の12月号には、エマニュエル・トッド氏が「アメリカはすでに敗北している」という記事を寄稿している。この間、ウクライナ情勢で、ウクライナが劣勢に陥っているという記事が相次いで発表された。本当にウクライナは敗北するのだろうか?
 この戦争が始まったとき、なんと無謀なことをプーチンは行ったのか、絶対許されるべきことではないと思った。そして、すかさず西側諸国がウクライナ支援を行い、ロシアに制裁を行った。軍事制裁を行えない西側諸国は、ロシアの金融を世界金融から切り離す措置を講じた。この制裁が発動されたとき、経済学者は「メガトン級の制裁」「経済の核攻撃」と表した。これでロシアも破綻するだろうと思ったが、ロシアは破綻しなかった。いまだに兵器を生産し、ロシアの民衆は生活に困っていない。外国企業のモノは手にできなくても国内生産で賄えている。そして、このことはロシアを支援する西側諸国以外の国々の強さを私たちに示したのではないかと思う。それは、中国であり、イランであり、インドだ。専制主義国家群とグローバルサウスである。逆に言うと、日本をはじめとした西側諸国の「沈下」を物語っているように見える。
 
 今年5月から開始された反転攻勢で、もっとロシアを追いつめると思っていた。ところがである。戦線は硬直化し、一進一退の攻防が続いている。まもなくウクライナは冬である。このまま、小康状態に突入し、戦争はまだまだ続くように見える。果たして、ウクライナは闘いを継続できるのだろうか。欧米は、軍事支援を継続できるのだろうか?     

 エマニュエル氏は指摘する。地政学的にドイツはロシアと友好関係にある方が、自国の利益に適う。エネルギー問題で、天然ガスを大量にロシアから輸入していたからだ。だから、ドイツは当初ウクライナ支援に消極的だった。ドイツは、いつまでウクライナ支援に積極的に関わろうとするのだろうか。そして、氏も指摘している通り、気になるのはポーランドの動きである。当初、ポーランドは自国がロシアやナチスに占領された経験を踏まえ、ウクライナからの難民受け入れに積極的だった。ところがこの間、ポーランドとウクライナの関係がぎくしゃくしている。隣国ポーランドの動きが、今後のカギを握ると同氏は指摘する。確かにそうだろうと思う。最悪の事態を想定すると、ウクライナの三分割が想定される。元々東部はロシア系住民が多く住み、ロシアの影響が大きい。そして現在支配下に置かれている。そして、西部はポーランドの影響が大きいのである。一時期、ポーランドンの支配下にあったこともあり、宗教的にもポーランドに近い。そして、中央部だけが本来のウクライナとして残るのではないかということである。こんなことにはなってほしくない。これはロシアの勝利、専制主義国の勝利を意味する。

もし、ウクライナが敗北したとしたら、その後の国際情勢はいったいどうなるのだろう?日本のとるべき道はどうなるのだろう・・・


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP