アメリカは、宗教国家?!

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 アメリカは、やはり宗教国家だった。イスラエルとウクライナへの軍事支援で、共和党の反対によりウクライナ支援を除外してイスラエルへの支援のみが可決された。バイデン大統領は反発しているが、このことがアメリカがどんな国かを示す一つの材料だろう。何をアメリカが大事と思っているのか、よくわかる。
 確かにユダヤ系アメリカ人が、経済界や政界、そしてマスコミ界にも力を持っているので、大統領選を控える民主党、共和党共にユダヤ系アメリカ人の動向には、神経を尖らせているのだろう。だが、事はユダヤ系アメリカ人だけの話ではない。彼らは、アメリカの中枢部分に力を持っているが、アメリカ国民に占める割合は、極端に低いと言われている。もう一つの勢力の影響を見なければならない。キリスト教福音派と呼ばれる人たちである。この人たちのほとんどは共和党支持者で、アメリカ国民の1/4を占めるらしい。福音派は、聖書に書いてあることが本当に実現すると考えている人たちで、彼らにとってエルサレムは絶対的に聖地なのだ。彼ら福音派の動向を共和党は無視できない。というより、彼らの意向に沿って動いている。

 一方、ウクライナ問題とは、法の支配、民主主義、という西側陣営が旗印とする問題である。アメリカが西側諸国の盟主であることを自認するのならば、決して譲ることができない問題なのである。確かに、ウクライナには汚職が蔓延り、戦争中でさえ閣僚の罷免や辞任があったりする。まだまだ問題の多い国である。しかし、ロシアが一方的に侵略し、ウクライナの領土を侵した今回の戦争は、西側陣営としては絶対に見過ごせるものではないし、もしこの戦争がロシアの勝利に終わることになれば、世界秩序は大きく変わる。それにもかかわらず、イスラエル支援を優先するアメリカ議会は、何を考えているのだろうと思う。アメリカは、民主主義よりも宗教を優先してしまうのか。

 さらに、ガザの市民を虐殺するイスラエルに「即時停戦」を求めず、「一時停戦」でさえさせることができないアメリカの現在の姿に、ダブルスタンダードだと思う諸国は、少なからず存在する。ウクライナ問題でさえ、多数のグローバルサウスの国々がアメリカを指示したわけではない。今回の中東問題に対するアメリカ(フランスを除くG7の国々も)の姿勢を見るならば、グローバルサウスの国々は、西側諸国を指示しなくなるだろう。過去の植民地支配を想起させるに違いない。

 日本は、どういう立場で臨むのか?G7外相会議が開催され、一致点を見出した。詳細は伝えられていないが、中東問題で激論が交わされたようだ。上川外相は、よく頑張っておられる。イスラエルを訪問した時も、イスラエル側が怒り出すのではないかと思うほど、強い口調で停戦を迫ったらしい。骨のある人である。官僚の書いた文章を伝えるだけでない、信念を持っておられるのだろう。日本にも世界に通じる外相がいたことは、嬉しいし誇らしい。


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