アメリカに対する幻想


 少なくとも私は、世界史の授業で、アメリカ独立宣言とフランス人権宣言が、民主主義の象徴と教わってきた。そして、リンカーン大統領の「人民の人民による人民のための政治」を、民主主義政治を最もよく表す言葉として学んできた。
 そして、第二次世界大戦、太平洋戦争(大東亜戦争)に勝利し、日本を軍国主義から解放したのもアメリカだ。その後、アメリカ式ではあるが、民主主義を日本に根づかせたのもアメリカである。現在の日本国憲法は、アメリカから押し付けられた憲法と改憲派は言うが、それでも戦後80年、一切改憲されなかったのも、その根本精神に民主主義が大きく座っているからだろう。アメリカは、自由と民主主義、法の支配をモットーとする民主主義国家であると、私たち(少なくとも多くの日本人)は、考えてきた。

 ところが、である。2026年冒頭からトランプは暴挙に出た。言わずと知れたベネズエラへの侵攻であり、大統領の拉致である。トランプは、国内法の執行というが、麻薬に関する逮捕状を執行するのに、主権国家の大統領を拉致する行為は、明らかに国際法違反である。更に、隣国コロンビアへの武力行使をちらつかせ、デンマーク領グリーランドの領有を公然と国際社会に向けて発言する。ベネズエラの国家運営はアメリカが行うと言い、石油利権は、アメリカのものだと恥ずかしげもなく口にする。今のアメリカは、帝国主義そのものだ。「力による平和」により、大国が世界を支配することを躊躇なく口にする。

 モンロー主義をもじって、ドンロー主義などと言っているが、恥ずかしくないのかと思う。アメリカは建国の経過からも欧州大陸とは距離をとってきた。アメリカには孤立主義の血が流れている。二つの世界大戦の時も、欧州大陸に関わることは消極的だったのだ。それは、それでよい。しかし、ドンロー主義とは、モンロー主義とはまるで違う。自らの「裏庭」と称する中南米に対しては、まるで主権国家など無いかの如く振舞うのだ。孤立主義ではなく、帝国主義なのだ。

 アメリカの歴史には、「80年周期」という定説があるらしい。1月7日の「報道1930」で、東大の宇野重規教授が話をしていた。「80年周期」とは、

建国→約80年後の南北戦争→約80年後の第二次世界大戦→そして今のトランプ政権

なのである。宇野教授によると、アメリカが民主主義国家の「顔」をしたのは、対ファシズムに対する戦争に勝利した一時期だというのである。アメリカとは、本来は今のトランプ政権のような国だというのだ。

 今、アメリカは、自らも築き上げてきた国際秩序を悉く崩そうとしている。1月8日には、66の国際機関や条約からの脱退を表明した。もう、アメリカに民主主義国家としての幻想を持つことはやめよう。国際社会は、大国の意のままに支配されようとしている。2021年のロシアによるウクライナ侵攻、2026年のアメリカによるベネズエラ侵攻、そして、2027年までに起こると言われている中国による台湾侵攻。国際秩序は、大きな転換点を迎えている。

 2026年アメリカ中間選挙で、共和党が大敗し、トランプ大統領が弾劾されることを望む。


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