9月3日の読売新聞に、「やはりそうだったか・・・」と思う記事が掲載された。日曜日の国際面に掲載される「ワールドビュー」である。この日は、アメリカ総局長の今井氏の記事が掲載された。7月以降にトランプの支持者集会で「オバマ元大統領はどこの生まれか」を尋ねたらしい。そうすると、20人中14人が「ケニア」あるいは「アメリカ以外」と答え、5人が「わからない」と答えた。「米ハワイ州」と答えたのは一人だけだったというのである。NBCニュースが2016年6~7月に行った世論調査では、共和党員の41%が「オバマ氏は米国生まれ」に同意せず、31%が肯定も否定もしなかった。同意したのは、27%だけという結果である。氏が指摘するように明らかに黒人への差別意識が根底にある。そして、白人の保守層、同時にトランプ支持者にこの意識を持つものが圧倒的に多いのである。そして、この人たちは、陰謀論に囚われやすい。何が問題か。どうも学力が関係しているように思う。狭い意味の学力ではない。学校の勉強ができるからといって、陰謀論から逃れられるわけではない。真に、真実に向き合い、物事を冷静に判断することができる学力である。陰謀論に囚われる人は、この点が欠如している。
共和党の中でも良識を持つ人はいる。今、共和党は、多くの大統領立候補者がいる。この前、初めて討論会が開催された。だが、残念なことにトランプは欠席した。他の候補者や主催者から訴訟について質問されることを嫌がったのだろう。本当に卑怯な男である。例え、トランプが共和党で大統領候補となっても本選挙では、無党派層が支持しないだろうと言われている。それでは、誰が共和党候補にふさわしいか。そんな議論をする地区の集会の様子が、報道されていた。地区の世話人の共和党員が、「誰が大統領候補にふさわしいか」と議論を投げかけても、トランプ支持者にとってはこのテーマ自体がトランプへの攻撃と受け止められるようだ。まともな議論ができる状態ではない。もはや「トランプ教」の状況である。科学や民主主義、法の支配が入り込む余地が無いように見えてしまう。こんなアメリカ国民を産み出してしまった学校教育は、何なのか。真摯に振り返らなければならない。
日本の教育はとかく、アメリカの教育についていこうとする。今の「流行り」はSTEAM教育だ。アメリカでSTEAM、STEAMと叫ばれると2~3年後には研究者がSTEAM、STEAMと言い出す。いかにもそれが最先端の教育のように。こんなアメリカ人を産み出してしまうアメリカの教育に学ぶ点があるのかと思ってしまうが、さて研究者はどう思っているのだろう。
コメントを残す