はい、論破


 こんな言葉が小学生で流行っているらしい。4月22日の読売新聞の「関心アリ!」に掲載されていた。相手の発言を遮ったり、言いよどんだ隙に「はい、論破」と言い放つらしい。社団法人「アルバ・エデュ」の竹内明日香さんによれば、
「ロジックがないことも多く、言い負かすことが目的化している。深い意図や悪意はなく、本人たちはかっこいいと思ってやっているようです」
とコメントしている。この他にも、「それってあなたの意見(感想)ですよね」というフレーズも流行しているらしい。いずれもSNS上のやり取りから広がったらしい。

 これを言われたらどう思うだろう?いい気がしないというのが、普通の感覚だ。相手とのコミュニケーションを遮断し、自分が優位に立つことを目的としているから、言われた方は不快に感じる。簡単に言うと「マウントを取りに来ている」という事だろう。先ほどの竹内さんは、この「はい、論破」に対しての親の対応として、
「また『論破ゲーム』が始まったのね」
「今のですっきりした?」
「こういう反論もあるけど、どう思う?」
の対応がよく、「やめなさい」は良くない対応らしい。果たしてそんな対応で良いのだろうか。私なら、こういう。

「あなたのその言葉は、相手にとても不快な思いをさせます。相手よりも上に立とうとしているし、まだ話は続いているのに勝手に打ち切ろうとしている。だから、お互いに言っていることを理解することもできないし、良い関係も築けない。それでも、あなたは言い続けますか?あなたはどう考える?」と。

 こんな人間関係を壊すような言葉が流行るのも、大人社会の反映かもしれない。頭に浮かんだのは、この前の都知事選で、選挙カーに乗って相手候補を追い回したり、演説会場に行って演説を邪魔したりした政党だ。もし、それがかっこいいと子どもたちが思っているとしたら、それは大変心配しなければならない。

 どういうコミュニケーションをするべきか、大人の模範が必要なのだろう。意見が違う相手との会話をどのように進めるかだ。ここまで、書いてふと頭に浮かんだのは、トランプだ。あいつも、「はい、論破」的思考で、粘り強く相手の話を聴くとか、相手を説得するという事はできない。こんな悪例を示すバカな大統領は、早く退場してほしいものだ。


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