なぜ、公立学校だけなのか?

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 6月11日の参議院で給特法の改正法案が成立した。教職調整額は徐々に上がるが、根本的な「定額働かせ放題」の制度は維持されたままだ。「時間外在校等時間」というわけのわからない概念を持ち出して、労基法で認められている残業時間を無いものとしているのである。

 しかし、未だに不思議なのが、私立学校、国立行政法人系学校は、労基法が適応され、なぜ公立学校は労基法が適応されないのかという事だ。文科省や文科省にすり寄る教育長などは、「教員の仕事の特殊性」を持ち出す。どこまでが仕事でどこまでが仕事でないのかの区別がつきにくいというのである。それなら、私立学校や国立行政法人系の学校はどうなのだ。「時間外在校等時間」は、残業時間として認められているではないか。国立行政法人系の学校で仕事をしている教員のほとんどは、公立学校で働く教員が派遣されているのだ。その働き方や仕事の内容が、国立行政法人系の学校に派遣されたからといって、コロッと変わるわけではない。同じように生徒に関わる教育活動をしている。この「公立学校の教員の特殊性」という論理に、未だに納得がいかない。公立学校には、様々な児童生徒が在籍していることを理由に挙げる文科省の役人や教育長もいるが、多様な生徒が在籍しているがゆえに、私立学校よりもより幅の広い教育活動が求められ、仕事量も増えるのではないか。全くと言っていい程、納得がいかない論理なのだ。

 給特法に賛成した国会議員は、この「公立学校の教員の仕事の特殊性」に納得したのだろうか。要は、民間組織と公立組織の違いであって、国立行政法人系が行政法人化される前は、給特法が適応されており、行政法人化されたから労基法が適応されるというだけの話なのだ。「公立学校の教員の仕事の特殊性」の問題ではない。

 成立してしまったものは仕方がないが、次は勤務実態調査を絶対行わせることだ。改正された給特法で、働き方改革が進み、そして教員不足が解決しているのかどうかの検証が、非常に重要になる。給特法の大幅改正、廃止に向けた運動は、今日から始めなければならない。


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