6月8日にマスコミが、報道した。カナダのトルドー首相が、サミット開催中の21日に原爆資料館を再訪していたというのである。新聞もテレビもあまり大きく報じていなかったように思うのだが、これは広島でサミットを開催したことによる、とてつもなく大きな成果ではないかと思う。トルドー首相は、「もう少しじっくりと展示物をみたい」と希望し、再訪を自ら申し出た。どのくらいの時間資料館にいたのか、どこを見学したのか、そしてどのような感想を持たれたのか、カナダ大使館は「私的な訪問のため、詳細は伏せる」とし、内容は定かではない。しかし、トルドー首相が、「私的」に資料館をみたいと思ったこと、そう思わせたことは、ヒロシマの持つ平和への願いのなせることだ思う。公的の場合は、ある意味公務であり、仕事である。首相や大統領本人がどのような考えを持っていても、例えば「原爆使用が正しかった」という信念を持っていても、このG7の場では「平和を希求する」という立場表明をしなければならない。再度言おう、トルドー首相は、自分の意志で再訪したのである。これがヒロシマの持つ力であるし、ヒロシマでG7を開催した成果ではなかったか。日本の別の場所で開催した場合、果たしてトルドー首相は、ヒロシマまで足を延ばしただろうか?
被爆者の方たちや平和運動に携わったいる方々から、今回のヒロシマサミットは酷評された。これには賛同できない。核保有国にとって、核廃絶に向けた行動を言明することは、そう簡単なことではない。国内の各界のステークホルダーとの調整や政治力学が働くことは当然だし、何よりも国際情勢が大きく起因する。レーガンとゴルバチョフが核軍縮の成果を得たのも、米国とソ連の様々な要因が重なったうえでの(その多くは、社会主義体制の破綻によるソ連の衰退が大きいが・・・)、そして両者の信頼関係の上に成り立っている。今、プーチン、習近平という権威主義体制かつ核保有国の指導者を誰が信用できる。一方的に西側諸国が核削減に動いた場合、この両国に加えて北朝鮮はどのように動くか。核のバランスを崩すことは、すなわち、平和の維持に見えない亀裂を入れることになる。人類全体が、互いの信頼関係の上に核廃絶に向けて動き出すことが重要なのである。このことを理解してほしい。
カナダ トルドー首相 G7広島サミット最終日に原爆資料館再訪 | NHK | 原爆
さて、ここからは雑談である。今回のG7の首脳たち。好印象を与えたのは、イギリスのスナク首相とカナダのトルドー首相だ。トルドー首相は、すでに述べたので、スナク首相について、述べたい。彼は、お好み焼きを体験したり、広島カープの靴下をはいたり、パフォーマンスなのだろうが、それが嫌味に見えない。彼は愛されキャラなのだろう。彼がインド系の出身というアジアの一員であることも、私たちには親近感を持たせてくれる。エリート出身であるフランスのマクロン大統領が同じことをすると、少し嫌味に感じてしまうのは、私の偏見だろうか。
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