そもそもの話だが・・・

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 広陵高校問題が収まる気配がない。ネット上には様々な意見が見られる。広陵高校の対応のまずさはもちろんなのだが、強豪校と言われる100名を超す硬式野球部員を擁する学校の問題、寮生活の問題、高野連の問題、そして朝日・毎日というマスメディアの問題である。

 ところで、どのメディアもSNSもあまりというか、ほとんど取り上げていないのだが、そもそもの発端は、1年生部員が禁止されているカップラーメンを食べたことに対して、2年生部員が暴力を振るったことによる。そこで、思うのだ。「カップラーメンがダメなのか?」確かに、カップラーメンが健康に良いとは思わない。ほぼ毎日カップラーメンを食べていたら、健康な体を作ることができないくらい誰でも知っている。だからと言って、「禁止」というのはどうなのだろう。カップラーメンを食べて、他の部員よりも体つくりが十分でないのは、その部員の責任だ。この点について、あまり触れられないのは、甲子園に出場するような高校の野球部は、「カップ麺禁止」は当たり前なのだろうか。

 そんなことを考えて、広陵高校の寮ってどうなっているの?と思ったので、webにアクセスしてみた。そうすると、野球部の寮での生活の1日が掲載されていた。次のURLからアクセスしてほしい。

http://koryo-yuushi.com/team/nikka.html

 まずびっくりしたのは、学校の授業は午前中だけ。午後は、野球漬けの毎日だ。大丈夫かと思う。というのも、野球で将来飯を食っていこうと思う生徒はそれでよいかもしれないが、いくら強豪校とはいえ、そういう生徒はごく一部だ。多くの生徒は、高校球児という経歴を持って進学も含め社会に出る。昭和の高度経済成長時代は、スポーツ選手は重宝がられた。忍耐強さ、上位下達、体力とモーレツ社員にぴったりだからだ。まさに「24時間働けますか?!」なのである。ところが、平成の終わりから令和にかけて、そんな人材は求められなくなった。何がキーワードかというと「創造性」である。「0から1を創り上げる、自分の頭で考える人材」である。それには、学力の3要素の「思考・判断・表現」「主体的に学ぶ態度」が必要なのだが、その前提となる「知識・技能」が無ければならない。この複雑な世の中を理解するのに、通常の6時間授業を受けているだけでも難しいのに、午前中だけの授業で果たして可能なのだろうかと思うのだ。

 更に、昼食時に「自室に入らないこと」とある。「???」である。これには理由があるのだろうか。まだまだ未熟な10代である。一人になりたい時もあるだろう。人には言えない秘密もあるだろうと思うのだが、そんなことをしていては、規律が緩むというのだろうか。

 寮での1日を見ていると、まるで朝ドラの「あんぱん」に出てきた高知高等女学校の寮生活のようだ。朝ドラを見ながら、戦前は大変だよなと思っていたが、現在でも同じようなシステムがこの寮生活にはある。規律で縛られた生活をしていると、物事を考えることよりも、その規律に従うことが優先されてしまう。「あんぱん」ののぶも高等女学校の生活で、すっかり「軍国少女」になってしまった。そのまま教壇に立ってしまったことで、大きな後悔をしてしまう。

 広陵高校出身のあるプロ野球選手が、高校1年生からレギュラーで出場していた。そのプロ野球選手が、あるインタビューでその時のことを「まるで覚えていない」と答えている。物事を考えることができない状況に置かれていたのではないか。そんな状況でクリティカルシンキングもあったものではない。

 世の中では、「ルールメイキング」という取り組みが行われている。中教審でも児童・生徒が学校の運営に参画することが提唱されている。そんな動きがある中で、「カップ麺を食べたから暴力を受ける」というのは、「不適切にもほどがある」だろう。もちろん、暴力を振るうことがだめなのは当然だが、それ以前に、「カップ麺禁止」というルールも時代錯誤も甚だしいと、そもそも論で思っていた。


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