朝ドラのことだ。社会派の「虎に翼」と比べるべくもなく、「おむすび」はあまりにも軽い。冒頭の主題歌のところで、先が見えたように思う。つまり、伝説のギャルだった姉とは違い、真面目に高校生活を送っている結もギャル化していくが、自分の進路で悩む中、栄養士の道を進むというものだろう。色々紆余曲折があるだろうが、「どうなるのだ?」というワクワク感はほとんどない。
それに、脚本が稚拙だ。例えば、帽子を取るために海に飛び込むシーン。必要ありますか?それも主役の橋本環奈が海に飛び込むシーンを大々的にクローズアップして、如何にも「橋本環奈を海に飛び込ませましたよ!」というシナリオだ。また、初めて高校に登校した教室のシーン。担任が教室に入ってきて点呼を取る。「米田 結」と呼んだときに、「おー、お前か、伝説の米田の妹というのは!」と、姉が最速で停学になったことをみんなの前で話す。有り得ないでしょう。そんな個人情報をみんなの前で話すようなことは、絶対にありえない。わざわざ、こんなシーンを作るのは、「伝説のギャルの妹」ということを印象付けたいのだろうが、あまりにも現実離れしている。博多ギャル連合の総長就任のために、説得するギャルたちの話し方も、かつてギャルだった人からすると、「あんなにアゲ、サゲ、言わない」と違和感が出ている始末だ。
とにかく、脚本が良くない。イメージがデフォルメされて脚本化されている。だから、リアリズムに欠けるのだ。となると、視る方もドラマに没入できない。やはり、ドラマは脚本が第一だ。そこにリアリズムが欠けてしまうと、単なる娯楽になってしまう。朝ドラというものは、人生の生き様を描くドラマだと思っている。夢や希望、失敗や挫折、それを乗り越えていく生き様を描くことで、朝から多くの人が共感し、涙を流すのだ。「おむすび」のどこに共感と感動があるのだろう。
とにかく、担任が個人情報をみんなの前で話すシーンは、教育に関わる者としては許せない。
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