「特定看護師制度」を参考に!


 8月19日、朝のNHKニュースで「特定看護師」の紹介をしていた。特定の治療を医師の指示に従い、医師がいなくても代わりに治療を行う看護師の事だそうだ。この制度の導入により、医師の負担が軽減され、医師の働き方改革が進むという。「ほー!いいじゃん!」と思ってニュースを聞いていた。ところが問題もあるのだ。特定看護師になるためには、看護師が、半年から2年の研修やトレーニングを積まなければならない。それも働きながらである。特定看護師をめざす看護師は、すでに看護師業務の中心を担う人材であることが多く、その人たちの負担もさることながら、周囲の看護師への負担にもなっている。

 この問題を解決して、すでに100人以上の特定看護師を配置しているのが、大阪府にある関西医科大病院だ。この病院では、
★今まで看護士が行っていた業務に看護補助者を設置する。映像では、患者の洗髪を行っていた。確かに看護師以外でもできる業務と言える。
★食事に関するアレルギーチェックは管理栄養士が行う
★点滴の準備は、薬剤師が行う
というように看護師の負担を軽減することで、特定看護師になるための研修への意欲を向上させている。また、この病院では、特定看護師の配置により、負担軽減を7割の医師が実感している成果を上げている。まさに、「チーム病院」である。

参考になるなと思ったのは、やはり負担軽減には、人材投与が必要ということだ。看護師補助者の存在は大きいのではないか。また、業務の見直しにより、管理栄養士・薬剤師の役割の見直しも大きい。

 さて、ここからが本題だ。この取り組みを学校に当てはめてみよう。教師の働き方改革を進めるためには、教師が授業と生徒への指導に集中できる環境が大事だ。そのために、すでに学校には、教務補助・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・部活動指導員などの教員以外の人材が配置されている。問題は、その常駐具合であろう。特に発達障がいや不登校生徒への対応には、特別に時間を要する。スクールカウンセラーが配置されても、相談業務が週1回というケースが多いのではないか。そうすると、残りの週4日は教員の対応になる。週1回の勤務では、カウンセラーとの打ち合わせにも時間を割かれる。カウンセラーも勤務していないときに、クライアントである生徒がどのような状況であったのかを把握しなければならないからだ。これが、常駐という体制が組めると、事態は大きく変わる。阿吽の呼吸で話が通じるし、リアルタイムでカウンセラーの対応が可能であるからだ。
 また、働き方改革の目玉である部活動指導員について、最近は一向にマスコミは取り上げない。いったいどこまで浸透し、実質的な成果を上げているのだろうか。部活動指導員を部活動指導員としてだけ雇うのではなく、フルタイムで雇うこと(当然、勤務は教員とはずれるが)になれば、授業中は教務補助員として活躍してくれることになるし、場合によっては、生活指導に関わってもらうことができる。部活動指導員も、部活動の時だけの生徒を見るだけではなく、課内活動中の生徒の様子も見ることができるので、より充実した指導が部活動でもできるように思う。部活動指導員の人材確保の難しさは、勤務するのが放課後だけとなっていることだ。そのため、金銭面ではかなり苦しい状況になり、部活動指導員という仕事だけでは生活が成り立たない。そのために、ボランティア的な仕事になってしまうのだ。だから、人材も見つけにくい。この事を解消するために、フルタイムで、勤務してもらえるようになれば、かなり人材確保も容易になるのではないかと思う。

 要は、どれだけ人材の投与をできるかだ。そのためには当然コストがかかる。教育に資源を投じることをしなければ、「チーム学校」は夢の話だろう。


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