「文春砲」第2弾ー各国のデジタル教育事情

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 11月21日号の週刊文春にデジタル教育についての第2弾が掲載された。今回は、世界各国のデジタル教育事情だ。詳しく紹介されているのは、フィンランドである。「フィンランド版PISAショック」で、デジタル教科書の使用の見直しが起こり、紙の教科書への回帰に動いているという内容だ。保護者も賛成しているという。スウェーデンでもデンマークでも同じような動きであることが紹介されている。
 北欧諸国がPISAの成績を下げる一方で、読解力・科学・数学の三部門で世界トップを独占したシンガポールも紹介されている。シンガポールでは、デジタル教育に一定の力を注いでいるが、タブレット端末の使用に関しては、徹底的に管理をしているという。アメリカの紹介もある。アメリカのシリコンバレーにあるヴァルドルフ・スクール・オブ・ペニンシュラ校が紹介されている。この学校では、「反デジタル教育」を貫いているらしい。それでも、卒業生の約96%がカリフォルニア大学のバークレー校やコーネル大学などに進学。そのうち、6~7割がSTEM分野に進むという。ドイツのオッフェンブルグ大学のラルフ・ランカウ教授の話も紹介されていた。彼の主張は過激で、「そもそもデジタルと紙のバランスをとる必要があるのですか?」とデジタルの不必要を主張する。
 面白いと思ったのは、ラルフ・ランカウ教授が紹介しているユネスコの報告書「2023年グローバル教育モニタリングレポート」の紹介である。そのレポートには、デジタル教育は、「教育上のメリットよりも、IT企業の経済的利益などに焦点が当たっていると指摘している」という。何となく感じていたことであるが、ユネスコがこのように言っているのを知ると、すっきりした思いだ。

 各国の事情を知ってみると、
★デジタル教科書では、学力が伸びない。特に読解力が伸びない。集中力が持続しないから
★低学年でのデジタル機器の使用は、脳の発達に悪影響を及ぼすので、使用しないか制限をかける必要がある。
というもので、デジタル教科書から紙の教科書への回帰が進んでいるということだろう。

 ところで、前回のブログでこの「文春砲」をアップしたところ、ものすごい数のアクセス数があった。一教員のブログであるにも関わらず、いつもの4倍以上のアクセスがあったのだ。それほど、このデジタル教科書については、皆さんが敏感なのだろうと改めて思った。色々と返信や書き込みもしていただいてありがたい限りである。ところが、皆さんの意見を読んでみると、いろいろと論点がばらけているように思った。今、私が問題視しているのは、デジタル教科書、あくまでもデジタル教科書に、学習効果があるのかということである。私はデジタル端末そのものの利用は、否定していない。今のご時世、デジタル端末は筆箱や消しゴムと同様勉強のツールになっている。教育のDX化も必要だろう。ただし、過度のデジタル端末の使用は避けるべきだと思うし、教員による端末の管理も必要だ。こう考えると、シンガポールの取組が参考になるように思う。

 次回は、文科省の担当者へのインタビューが掲載されるらしい。果たして、担当者は何と答えるのか。楽しみである。


“「文春砲」第2弾ー各国のデジタル教育事情” への1件のコメント

  1. とみぃのアバター
    とみぃ

    子どもたちが自分で選んで使えるようにしたいところです。

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