「変わる部活動」3月24日読売新聞

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 3月24日の読売新聞に1面を使って、「変わる部活動」に関する記事が掲載された。サブタイトルは、「地域移行1年 成果と課題は」である。成果事例として、長崎県長与町の事例が掲載されていた。当初は保護者から大きな反発があったとしながらも、卓球部・バスケットボール部で先行実施しながら、住民の理解を得ることができ、今では9割の生徒が肯定的な意見を持っていると報告されていた。一方、事業費約2700万円のうち、会費で賄えるのは6割程度で、残りは国などの委託費。今後は収支構造や活動内容の見直しが欠かせないと指摘されている。

 そうなのだ。政府―文科省は、地域移行を謳いながら、その裏付けとなる原資を地域の地方自治体に丸投げしてしまっている。そのため、地域移行がスムーズに実現しない。この指摘を的確にしているのが、関西大教授、日本部活動学会会長 神谷拓氏だ。神谷氏は、次のように述べている。

「部活動を民間に移行した場合、指導者への謝礼や場所代などでいくらかかるのか。どれだけ国や自治体が補助し、保護者らが負担するのか。改革が進まない要因の一つは、最も大事なお金に関する議論なしに、国が自治体に丸投げしてしまったことだ。国の補助でモデル事業に取り組む一部を除き、ほとんどの自治体が具体的なプランを示せていない。」

と。まさにその通りだ。これが文科省が三流官庁と言われる所以ではないかと思う。昔、兵教大の教育政策リーダーコースで学んでいた時に、財務省の主計局(だったと思う)の人の話を聞く機会があった。予算編成をするために、財務省は各省庁の担当者を決め、各省庁から上がってくる予算請求の査定を行うのだ。当然、担当者としては、その予算請求の根拠を聞くことになる。私が話を聞いた時は、小学校や中学校のクラス人数が話題だったと思う。1クラスの人数を減らしたい文科省に対して、その主計局担当者は、「1クラスの人数を減らしたら、どういう効果があるのか?エビデンスはあるのか?」と質問する。当然だろう。担当者も財務省に戻って予算の編成作業をするときに、「●●の理由で、これは必要だ」と言わなければ予算請求が通らないからだ。ところが、そのエビデンスを文科省は十分に示せないらしい。今はどうか知らないが、そんな話を聞いた。これでは、「教育予算は認められないな」とその当時思った。

 部活動の地域移行は、教員の働き方改革に直結した問題だ。今、学校現場は教員不足に喘いでいる。優秀な人材が確保できないのだ。そのために、性被害も含めて、様々な問題が教育現場で噴出している。そのマイナスの経済効果は試算できるのではないだろうか。よく、「●●が優勝したら、経済効果は◇◇◇◇だ」などと言われるその逆の試算が。部活動の地域移行という一つの事が、今後の日本に与える影響が、多大なものになることを、文科省はきちんとエビデンスを示して、持続可能なものにしていかなくてはならない。まさに「バタフライエフェクト」だと思うのだが、如何だろうか?


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