文春砲「デジタル教科書」最終回


 11月29日発売の週刊文春に連載されている「デジタル教科書で日本人がバカになる!」の最終回が掲載された。今回は、企業の言い分ということで、GIGAスクール構想になぜGoogleのChromebookが採用されているのか、そしてGoogleはどのように児童生徒の情報を収集し、活用しようとしているのかということが掲載されていた。
 まず、なぜGoogleのChromebookなのかということだ。これには、東京学芸大学教職大学院教授の堀田龍也教授と同じく東京学芸大学の高橋純教授が絡んでいるらしく、Chromebookが採用されるようにGIGAスクール構想の仕様が設計されたらしい。なるほどである。確かに大阪府も兵庫教育大学附属中学校もChromebookだった。当時は、「なぜ、Windowsでは無いのか?」という声が現場から上がり、私も教育委員会の担当者に尋ねたことがある。回答は「安価」ということだ。納得せざるを得ない理由だ。
 また、記事ではGoogleの情報収集戦略について疑問を投げかけられていた。知らず知らずのうちに、子どもたちの情報をGoogleが収集し、それを企業戦略に役立てようというものである。なかなか、近未来的なSFのような話だが、実際これだけ日本でもGIGAスクール構想でChromebookが配布されれば、SFの世界と片付けてしまうこともできないだろう。

 さて、今回でこの「デジタル教科書で日本人がバカになる!」も最終回だ。どうも消化不良である。元々の論点は、「デジタル教科書が、児童・生徒の学習に有益か」ということだ。専門の研究者たちがデジタル教科書に疑問を投げかけ、かつデジタル先進国も紙への回帰が始まっている中で、今回は、推進する専門家、具体には堀田氏や高橋氏なのだが、彼らがこのデジタル教科書の推進に関する疑問点に対してどのように考えているのかという点だ。この点が、今回の記事では一切語られることは無かった。少々、というか大いに消化不良である。クローズアップされていたのは、この推進役の専門家とGoogleの中に、何かしら関係性があるのではないかという点だ。確かに、文春記者としては、「疑惑」に焦点化しようとするだろう。しかし、教育関係者にとっては、「疑惑」は二の次である。大事なことは、デジタル教科書の有益性の問題なのだ。この点が明らかにされていないのは、やはり文春記者の限界だろうと思う。推進役の専門家が、この「デジタル教科書の有益性」について、何と答えるのかを聞いてみたかった。せっかくのシリーズもどうも竜頭蛇尾の様相で終わってしまった。残念である。


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