4月10日5時50分ごろに発生した落雷事故について、12日帝塚山学園が説明会を開催した。同校の説明では、グラウンドには当時、サッカー部、野球部、硬式テニス部の生徒115人と、各部の顧問の教員ら8人がいた。事故の約10分前に小雨が降り始め、いったんやんだ後、強い雨が降ってすぐに雷が落ちたという。雷鳴は聞こえず、まさに一発目の雷による事故だったという。学校側は「予測困難だった」という説明だ。雷注意報が出ていたことを、野球部の顧問は認識していたが、サッカー部の顧問をはじめ他の顧問は認識していなかった。この事故、生徒二人が意識不明の重体になっており、一刻も早い回復を祈る。ただ、この落雷事故が学校現場に投げかける波紋は大きい。
学校は調査委員会を立ち上げると言っている。これから専門家による検証も行われると思うが、私が思うところの論点を考えてみた。まず、最大の論点は、落雷を予知できたかという点だ。そして、次に安全配慮をどのように行っていたかという点である。と考えると、
「雷注意報を野球部の顧問は認識していたが、他の顧問は認識していなかった」
という点は、焦点となるだろう。学校側としては、10日の天気予報をみれば発雷確率は高まること、雷注意報が出ていることを屋外で活動する顧問に周知すべきであった。これが、学校側のとるべき安全配慮である。よって、天候が急変すれば直ちに避難行動をとるようにあらかじめ指示すべきだったと思う。個々の顧問の判断にゆだねるような状況を生み出した学校側の責任の有無が焦点になるだろう。
サッカー部の顧問は、「雨が激しく降ってきたので、活動をどうしようかと考えているときに落雷した」と述べている。避難行動はとらなかったということだ。これも大きな焦点になる。自然相手の事ゆえ、予測不可能なことも起こり得る。通常、雷は遠くの方で雷鳴が聞こえ始めるという私達の先入観がある。ところが、今回は、学校が「予測が難しかった」というように一発目の雷が落ちたのだ。もし、避難行動をとっている最中に落雷したとすれば、学校側の安全配慮義務違反にならない可能性が高いが、今回は逡巡する中での事故だ。もし、学校の管理職が事前に「天気が急変した際は、すぐに避難行動を!」と周知していたならば、すべての顧問が逡巡することなく避難行動をしていた可能性がある。
もし、今回の事故が裁判になった場合、どのような判決が出されるか、教育現場に大きな影響をもたらす可能性が高い。
コメントを残す